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レッドウィング 9268ってどんなブーツ?(甲がきついときのサイズ選び/廃盤の真偽)

2022年6月14日

レッドウィング9268

読者の知りたいこと

質問者さん
質問者さん

  • レッドウィング9268ってどんなブーツ?
  • 甲がきついって聞いたけどサイズ選びはどうすれば良い?
  • 経年変化(エイジング)はどんな感じ?
  • もしかしてもう廃盤なの?
  • かつてはレッドウィングの一押しモデルでした。もちろん僕も気に入り、愛用してきました。
    2023年冬現在、まだ完全に廃盤というわけではないようです。本記事ではその経緯についても触れて解説します。

    レッドウィング9268の特徴をまとめてみました

    9268とはどんなブーツなのか。その特徴をまとめて解説します。

    レッドウィングの名作「エンジニアブーツ」

    エンジニアブーツの歴史について

    蒸気機関士

    19世紀半ばからアメリカで未開拓の地を目指した西部開拓が始まります。
    ほぼ時を同じくして蒸気機関車が実用化され、20世紀初頭にはアメリカ中に鉄道網が広がり、アメリカの国土は急速に拡大していきました。
    こうしたアメリカの発展を支えたのは鉄道機関士(レイルロード・エンジニア)と呼ばれるワーカーです。彼らの仕事は過酷かつ危険なものでした。
    そんな彼らの足を守るために作られたのがエンジニアブーツです。

    紐がなくひっかけや巻き込みによる事故を防ぐことができ、コード(繊維)を混ぜて作られたソールは油が散った地面でも滑ることがありません。
    また、スチールトゥと呼ばれるつま先に入った鉄のカップはワーカーの足元を危険から守りました。

    20世紀半ばに入ると、安くて機能的なレースアップタイプのワークブーツが主流になり、それまでエンジニアブーツを作っていたメーカーは次々と製造を中止しました。
    そうした中でも、レッドウィングはワークブーツのリーディングカンパニーとして、エンジニアブーツを製造し続けた数少ないメーカーです。
    やがて20世紀後半には日本でも販売されるようになり、マーロン=ブランド主演「乱暴者」をはじめとしたアメリカ映画の影響を受けた日本の若者を虜にします。1985年からは日本で渋カジファッションが大流行し、レッドウィングが一世を風靡します。
    今でもファッション市場で、古き良きアメリカのテイストを感じられるアイテムとして不動の人気を誇っています。また紐の巻き込みがなく安全で、スチールトゥで足を守れるといった理由からバイカーからも好まれています。

    1980~90年代のディテールを再現

    レッドウィングのPT91の茶芯

    PT91の茶芯の個体

    皆さんPT83、PT91という名前を聞いたことがありますでしょうか?実はこれらは品番ではありません。品番は全て2268なんです。
    2268の中でも1980~1990年代に発売されていたヴィンテージの通称です。

    P:Product(プロダクト)
    T:Test(テスト)
    91:91年

    アメリカの工業規格であるANSI規格に1991年に合格したスチールトゥを表す品番が「PT91」。
    タグにPT91と書かれていることからPT91と呼ばれています。

    ではなぜこれらの名前をよく聞くのか。それは人気が高いからです。
    PT83やPT91には次のような特徴があります。茶芯レザー、細いシャフト、プレス式バックル…
    これらのディテールは現行の2268には採用されておらず、その人気ゆえに復刻を望む声が絶えませんでした。そこで2014年に満を持して復刻登場したのが今回紹介している9268です。

    茶芯レザー

    茶芯とは

    レッドウィングブラッククロンダイクの茶芯

    ブラッククロンダイクの茶芯

    茶色い革の表面を黒く染色した革を「茶芯」と言います。
    茶芯はヴィンテージのレザーアイテムによく見られる特徴です。元々茶芯とは生産性の合理化のためになされていたもので、一旦すべての製品の革を茶色で作り、黒い製品を作るときはその上を黒く染色する手法です。
    茶芯のレザーは使い込むほどに表面の黒い部分が擦れて地の茶色が浮き出してきます。この黒と茶色のコントラストが美しい経年変化をもたらすのです。

    9268は茶芯レザー「ブラック・クロンダイク」を採用しています。断面や裏革が茶色いことが分かると思います。
    レッドウィングのブラックレザーも1990年代までは茶芯の個体が存在していました。しかし現行のブラックレザーは茶芯仕様ではなく、革の芯まで黒い「芯通し」と呼ばれるものです。
    茶芯の復活を望む声は多かったものの、当時使われていた表面の黒い塗膜は有機溶剤系塗料であり、現在の環境基準では使用できません。開発にあたり度重なるサンプルを経て、水性塗料でも強力な塗膜を作れるようになり、ようやく当時の雰囲気を再現することに成功しました。それがレッドウィングの茶芯レザー「ブラック・クロンダイク」なのです。

    レッドウィングの茶芯は特に80~90年代前半に多いようです。PT91の後期モデルだと茶芯ではなく現行と同じ芯通しのレザーもよく見られます。PT91などのヴィンテージを買われる方はよくご確認のうえ購入することをおすすめします。

    ストーブパイプ(STOVEPIPE)

    シャフトとはブーツの履き口の筒のことです。
    90年代までのレッドウィングのエンジニアブーツは、シャフトが現行のものよりも細く設計されていました。この細く絞られたシャフトをレッドウィングではストーブパイプと呼んでいます。
    現行のエンジニアでは履きやすさを考えてシャフトを太く設計しています。
    下の写真はストーブパイプ9268(左)と現行品2268(右)の比較写真です。9268はシャフトが細く、シャープな設計であることが分かります。

    下の写真は復刻版である9268(左)と90年代ヴィンテージのPT91(右)の比較写真です。
    9268はPT91と同じシルエットをしていることが分かります。

    細いシャフトにはメリットとデメリットがあります。

    【メリット】

    • シルエットがきれい
    • パンツの裾を下ろしやすい
    • 足がしっかり固定されて歩きやすい
    • シャフトにエイジングが出やすい

    【デメリット】

    • 履きづらい
    • ブーツインしづらい
    • シャフトが足に当たって痛くなりやすい
    • 新品は細くて足が入らないため、ブーツストレッチャーが必要

    ブーツストレッチャーについては本記事の2.実寸通りのジャストサイズで買うべし!と「エンジニアブーツの甲を伸ばせる!ブーツストレッチャーの使い方を解説」の記事で詳しく解説しています。

    また、当ブログでは他にもレッドウィングのストーブパイプのエンジニアを紹介しています。
    気になる方はチェックしてみてください。

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    プレス式バックル

    90年代のプレス製法も再現されています。ここはすごくマイナーなところですが、細部まで当時を再現してくれるのはありがたいですね。

    2966という兄弟モデルの存在

     

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    9268と同時期に発売された2966というエンジニアブーツがあります。
    2966は革がブラッククロンダイク(茶芯)、ストーブパイプ(細いシャフト)、プレス式バックルと9268とほとんど同じなのですが、1点だけ大きく異なる箇所があります。
    それはスチールトゥではない(つま先の鉄カップが入っていない)こと。これによりつま先が足に沿うようにつぶれて低くなっていくという独特の経年変化を見せます。スチールトゥ仕様の9268には見られない特徴です。
    このように人気商品であったものの、ノンスチール仕様はレッドウィングでは異色の仕様だったからか廃盤に。販売時期が短く、知っている人も多くない品番です。9268とよく似ているため、今でも混同されやすいモデルです。

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    実寸通りのジャストサイズで買うべし!

    レッドウィングのエンジニアブーツには50番ラストが使われています。
    Dワイズですが横幅もあり、窮屈さが少ないです。
    基本的には実寸通りのジャストサイズをおすすめします。
    下にレッドウィングのサイズ選びの記事を載せていますので興味のある方はご覧ください。

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    9268はサイズ選びがよく話題にあがります。なぜなら細いシャフトゆえに足が途中で止まってしまい最後まで入らないからです。妥協していつもより大きいサイズを買ったという人も見かけます。
    しかしブーツや革靴は実寸通りのサイズを買うのがベストと言われています。革が馴染んだ時に最高の履き心地になりますからね。
    さて、どうすれば良いのか・・・

    甲がきついときはブーツストレッチャーで伸ばそう

    結論を言うと実寸通りのサイズを買ってください。
    なぜならブーツストレッチャーというアイテムを使えばジャストサイズでも履けるようになるからです。

    僕もお店で9268を何サイズか試着しようとした時は足が途中で止まって足が中に下りませんでした。試着できなかったんです。
    ここまで聞いてこう思われた方も多いでしょう。

    質問者さん
    質問者さん
    え?そもそも履けないものをなぜ選ぶの?

    しかし大丈夫です。ブーツストレッチャーを使えば試着で履けなかった僕の9268もちゃんと履けるようになりましたから!
    ちなみにこのブーツストレッチャー、レッドウィングの公式FaceBookでも紹介されたことがあるので、ちゃんと安全なものです。ご安心を。

    ブーツストレッチャーの使い方は下の記事に書いています。

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    試着は2268ですれば良い

    先述したように9268はシャフトが細くてお店でなかなか試着できないかもしれません。そんなときは2268など現行仕様の足が入れやすいエンジニアでサイズを測ってみて下さい。ラスト(木型)が同じ50番ですので、足を入れた後は同じ形なんです。2268を試着してベストだったサイズ=9268のベストサイズということになります。

    それでもきつくて履けない、脱げない…。そんなときに役立つ3つの道具を紹介

    ジャストサイズで選んで、ブーツストレッチャーで甲を伸ばした。それでもきつい…。
    そんなときに役立つのがエンジニアブーツの3種の神器

    革のすべり剤ブーツホーンブーツジャックの3つがあれば着脱が楽になります。
    下の記事で詳しく解説しているのでぜひご覧ください。

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    約1年半の経年変化(エイジング)をお見せします

    レッドウィング9268の経年変化

    約1年半の経年変化がこちらです。真夏以外の土日で街履きしていました。
    街で歩いていたこともありシャフトのうねりと甲のしわが強く出ています。
    バイクには乗っていないので全体的に経年変化は抑えめです。茶芯もまだまだこれからでしょう。

    【しわ】
    ジャストサイズで履いているため、シャフトのうねりと甲しわはしっかり出ています。

    レッドウィング9268のシャフトの経年変化

    シャフトのうねり

    シャフトはオーバーハングしてダイナミックな表情になりました。

    レッドウィング9268の甲の経年変化

    甲のしわ

    足に合った部分にしわが入ることで、歩いたときに感じるアッパーの革の硬さが軽減されます。

    【茶芯】
    街歩きのみのため、茶芯は一部しか出ていません。
    頻繁にすれる部分に茶芯が出ています。

    レッドウィング9268の履き口の茶芯

    履き口の茶芯

    履き口の細いストーブパイプをジャストサイズで履いているため、履くときに足と摩擦が起き、茶芯が出てきました。

    レッドウィング9268のかかとの茶芯

    かかとの茶芯

    僕はストーブパイプエンジニアを脱ぎやすくするためにブーツジャックを使っています。かかとに引っかけて使うアイテムのため、摩擦が起きて茶芯が出てきました。

     

    履き込んで味が出てきたら手入れが必要になってきます。
    下の記事でブラック・クロンダイクの手入れの注意点と方法を解説しているので、気になる方はご覧ください。

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    廃盤ではありません!ただし当分入荷はない…。そして時間の問題の可能性が…

    2021年頃から、9268で検索すると「9268 廃盤」と出てくることがありました。
    レッドウィングジャパン公式サイトにはちゃんとラインアップされているものの、ずっと欠品状態であったことが原因でした。
    そして2023年、何のアナウンスもないままひっそりとラインナップから姿を消しました。
    しかし、実際にはまだ廃盤確定ではありません。暫定ラインナップ状態に留まっています。

    レッドウィングジャパン公式サイト

    人気の高いモデルで注文して待っていた方も決して少なくないはず。
    ではなぜこのような扱いになってしまったのか。その理由は次の3つです。

    • 2020年からエンジニアブーツの生産が停止されている
    • アメリカ工場の熟練スタッフが大量離職した
    • 日本企画の商品(9268を含む)は今後廃盤化が進む流れ

    これらについて順番に解説していきます。

    2020年からエンジニアブーツの生産が停止されている

    靴工場

    福岡のレッドウィング直営店と正規取扱店から、2024年中はアメリカ工場がエンジニアを作らないと聞きました。
    コロナ禍でアメリカ工場の稼働が抑えられ、エンジニアブーツの製造を停止しています。
    注文したとしても手元に届くのがいつになるかは不明とのことです。

    このため確定ではない状態で暫定的にラインナップから外しているとのことです。

    レッドウィング直営店の記事
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    レッドウィング正規取扱店「フットロック」の情報

    アメリカ工場の熟練スタッフが大量離職した

    去る人々

    上述の2020年頃からアメリカ工場のスタッフが大量に離職し始めたそうです。
    詳細は不明ですが、スタッフと会社の間でトラブルがあったと想定されます。

    熟練スタッフの離職はブーツの生産にも影響します。
    プレーントゥタイプのブーツは製造に高い技術力を要しますが、それに対応できるスタッフがたくさん辞めていったことで、プレーントゥタイプの生産が困難な状況に。

    日本の看板モデル「ベックマンフラットボックス」擁する人気の仕様にも関わらず、このようなことになり、ファンとしては複雑な心境です。
    エンジニアブーツもプレーントゥなので、9268もこの影響を受けていたと考えられます。

    ベックマンフラットボックスの記事
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    日本企画の商品(9268を含む)は今後廃盤化が進む流れ

    9268の廃盤決定は時間の問題である可能性があります。

    2020頃からレッドウィングジャパンは世界共通モデルの販売に力を入れていくスタンスを取るようになりました。
    同じストーブパイプモデルの9269が廃盤になり、さらにはずっとラインナップされていたベージュラフアウトのエンジニア8268ですら廃盤になってしまいました(公式サイトを見るとラインナップから消えていることが分かります。)。
    元々、ブラッククロンダイクやラフアウトのエンジニアは日本のファンの声に応えて商品化したものでした。
    今残っている品番でも、こういった日本企画の商品の廃盤決定は近いのかもしれません。

    レッドウィング廃盤予想の記事
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    レッドウィングから近頃リリースされる新作を見ても読み取れます。
    新作アイリッシュセッターが海外準拠のDワイズ(日本はEワイズでの展開が主流だった)で発売されている現状を踏まえると、先述した予想はさらに説得力を増すことになります。

    アイリッシュセッターDワイズがよくわかる記事
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    今や店頭でもほとんど並んでいないレア品番となってしまった9268。欲しい方は廃盤になる前に注文だけでもしておくことを推奨します。

    まとめ

    レッドウィング9268を着用
    本記事が9268が気になっている方の参考になったら幸いです。

    • 9268は1980~90年代のディテールを再現したエンジニアブーツであり、ヴィンテージファンからも人気が高いです。
    • 甲がきつくて足が入らないという方はブーツストレッチャーの使用をおすすめします。
    • 廃盤ではありません!ただし当分入荷はない…。そして時間の問題の可能性が…

    当分入荷がなく入手が困難ですが、廃盤ではありません。しかし時間の問題で廃盤になる可能性もあると考えています。
    まだまだ店頭に並ばず入手は困難ですが、入手出来たらぜひ自分だけの経年変化を楽しんでみて下さい!

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