読者の知りたいこと
古くから人々を魅了してきた素材”シルバー”。
実はシルバーには銀純度や加工方法の違いで、いくつかの種類が存在することはご存知でしょうか?
本記事ではシルバーアクセサリーの愛好家である僕が、シルバーの種類を7つほど紹介していきます。
純銀の種類
まずは”純銀”に分類される4種類のシルバーの特徴を解説していきます。
実は”純銀”と呼ばれるものでも、銀純度は90%〜99.9%と様々です。
本当の意味での純銀とは、後に解説する「ファインシルバー(銀純度99.9%)」のことでしょう。
しかし銀は非常に柔らかい金属であるため、銀純度100%にしてしまうとアクセサリーとして使用できなくなってしまいます。
そのため高い銀純度は保ちつつも、硬い金属である銅を混ぜて使用されることが一般的です。
こういった事情から、スターリングシルバー(銀純度92.5%)などの銀合金も、一般的に”純銀”として扱われています。
それぞれの銀純度は以下の通りです。
銀純度は違えど、これらは同じケア剤を使って手入れを行うことができます。
シルバー専用のケア剤については、下の記事をご覧ください。
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それでは、1つずつ解説をしていきます。
ファインシルバー(純度99.9%)
銀純度が99.9%に達する正真正銘の純銀です。
先述した通り、銀の柔らかさが理由でアクセサリー等に使われることはありません。
ファインシルバーの主な用途は銀の延べ棒(インゴット)です。
ブリタニアシルバー(純度95%)
別名「シルバー950」、「五部落ち」です。
ブリタニアシルバーのアクセサリーには、品位95%の銀であることを示す”950”の刻印があります。
この純度のシルバーからアクセサリー等に使用されています。
見た目は後述する「スターリングシルバー」とほとんど変わりません。
スターリングシルバーに比べて使われることの少ないシルバーなので、ブリタニアシルバーのアクセサリーはやや珍しい部類に入ります。とはいえ、有名ブランドでもよく使われている素材なので、滅多に見ないというほどではありません。
僕の好きなウエスタンブランドFUNNYが販売している”ビクターコンチョ”は10年以上前はこの純度で作られていました。
(近年のものはスターリングシルバーになっています。)
スターリングシルバー(純度92.5%)
純銀の中でも最も有名なのがこの「スターリングシルバー」です。
sterlingは英語で”純粋な”、”真正の”という意味があり、純銀に相応しい称号と言えます。
銀純度が92.5%であるため「シルバー925」とも呼ばれています。
スターリングシルバーのアクセサリーには、品位92.5%の銀であることを示す”STERLING”、”SILVER925”、”SV925”、”925”などの刻印が見られます。
シルバーアクセサリーなどの銀製品のほとんどが、このスターリングシルバーを使って作られており、その白く鈍い輝きは古今東西、人々を魅了し、愛されてきました。
当ブログでスターリングシルバーのアクセサリーやカスタムパーツの記事を書いています。気になる方はぜひ見てみてください。
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コインシルバー(純度90%)
主に銀貨、アクセサリーに使われるシルバーです。
銀純度が90%であるため「シルバー900」とも呼ばれています。
コインシルバーのアクセサリーには、品位90%の銀であることを示す”COIN SILVER”の刻印があります。
スターリングシルバーよりも鋳造(溶かした金属を型で固める加工法)性が高いため、銀貨の製造によく使われています。
また、古い年代のインディアンジュエリーでよく使われた素材でもあるため、オールドスタイルの作家が好んで使用しています。
かつてアメリカで使われていた本物の硬貨を使用したコンチョは、コインシルバーのアイテムとして有名です。
僕が所有しているコンチョはモルガンダラーコンチョ、ピースダラーコンチョ、ワシントンクォーターダラーコンチョ、マーキュリーダイムコンチョの4種類です。
それぞれの写真をご覧ください。
また、コインシルバーのコンチョベルトやバックル(埋め込み)の記事を書いています。気になる方はぜひこちらもご覧ください。
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非純銀の種類
ここからは、純銀とはみなされていないものの、シルバーを使っている3種類の素材について解説をしていきます。
シルバークラッド(純度40%)
クラッドメタルの一種です。クラッドメタルとは異種金属を圧力によって接合する技術を使って作られた金属のことを指します。
1965年〜1970年に発行されたケネディハーフダラー硬貨は、シルバークラッドを使って作られていました。
ケネディハーフダラーの場合、表面に銀合金(銀80%、銅20%)、芯材に銀合金(銀20%、銅80%)を使っていました。
硬貨全体での銀純度は40%になりますが、表面は品位80%のシルバーなので、見た目は純銀に近いものとなっています。
ちなみにケネディハーフダラー硬貨は1964年にはコインシルバーで、1971年以降は白銅(銅とニッケルの合金)で作られました。
市場で人気があるのは当然1964年のコインシルバー製です。
シルバープレート
いわゆる銀メッキのことを指します。
芯材に真鍮などの他の金属素材を使用し、表面を銀でコーティングすることで、見た目や質感をシルバーに近づけたものになります。
安価でシルバーの雰囲気を楽しむことができるのがメリットですが、経年によってメッキが剥がれて、芯材が剥き出しになってしまうリスクもあります。
メッキの厚さは製品によってまちまちなので、厚くメッキされているものを選びたいですね。
純銀ではないため、シルバー専用のケア剤が使えないこともあります。
特に黒ずみを落とす液体クリーナーは、メッキに対応していないことが多いため、お手入れにはシルバー磨きクロスを使いましょう。
僕が愛用しているシルバープレートのアクセサリーは下の2つ。
FUNNYのSE-1ウォレットチェーンとモンタナシルバースミスのバングルです。
外観はシルバーそのもので、微細な傷によって複雑な輝きを放つようになる経年変化もまた、シルバーのそれに近いものがあります。
モンタナシルバースミスについては個別の記事を書いていますので、気になる方はぜひ見てみてください。
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シルバーフィルド
芯材に真鍮などの他の金属素材を使用していることは、先述のシルバープレートと同じですが、作り方や厚みに違いがあります。
シルバーフィルドの場合、最初に中が空洞になるようにシルバーの外殻を作り、後で中に芯材となる真鍮などを流し込んで作られます。
シルバープレートに比べて表面のシルバー層が厚く、その差は100倍程度と言われています。
本体総重量の20分の1以上をシルバーが占めるように作られるため、見た目や質感はシルバーのそれに限りなく近いものとなります。
シルバープレートと同様にシルバー専用のケア剤が使えないことがあります。
シルバー磨きクロスであれば問題なく使えますので、黒く変色した際にはこちらを使うようにしてください。
間違いやすいが銀ではないもの
銀を一切含んでいないにも関わらず、よく銀と混同されるものが存在します。
洋銀(洋白、ニッケルシルバー、ジャーマンシルバー)
洋銀は別名「洋白」、「ニッケルシルバー」、「ジャーマンシルバー」と呼ばれ、名前に”銀”や”シルバー”が付くことから、よく銀と混同されます。
実際には銀を一切含んでおらず、銀とは質感が全く異なります。
洋銀は銅を50〜70%、ニッケルを5〜30%ト、亜鉛を10〜30%配合した銀白色の合金であり、柔軟性・屈曲加工性に富み、耐食性にも比較的優れています。
その特徴を活かし、アクセサリーはもちろん、バネ材料や楽器、硬貨などにも使われています。
日本で最もよく目にする洋銀製品は500円硬貨でしょう。
銅をやや多めに配分することで、銀白色よりもわずかに黄味を帯びた色合いを出しています。
価格の決定要因について
シルバーは新品市場のみならず、中古市場や質店などでも頻繁に売買がなされています。
この章では、シルバーの価格はどんな要因で決まっているのかを解説していきます。
純度が高いほど価格が高いわけではない
先ほどまで銀の純度による違いを解説してきました。
ここで、次のような疑問をお持ちになった方もいらっしゃるかと思います。
こういう風に考えてしまうのはある意味当然の流れですが、
実はこの質問に対する答えは「NO」なのです。
シルバーは銀純度の高さで価格が決まるわけではありません。
ではどのような要因で価格が決まるのか。
決定要因①:ブランドや希少性
シルバーの価格の決定要因の1つとされているのは、ブランドや希少性です。
同じスターリングシルバーの指輪でも、ノーブランド品とクロムハーツの物では驚くほどに価格が変わってきます。
下の指輪は2018年にアメ横のシルバーショップで購入したノーブランド品です。品位は925(スターリングシルバー)。
当時6,400円で購入したものですが、これが仮にクロムハーツの物だった場合、価格は10〜20万円になります。
素材は同じスターリングシルバーでも、ブランドの名声やデザイナーの人件費などにより、価格に大きな差が開きます。
決定要因②:世界的な需要
僕がシルバーアクセサリーに興味を持ったのは約10年前。
その時代と比べて、銀はかなり値上がりしました。
この理由を説明するため、銀の価格の決定要因をマクロの視点で解説していきます。
まず市場原理として、銀の需要が高まれば、銀の価格は上昇します。
近年銀が高騰を続けている主な理由は、銀の需要増によるものなのです。
銀の主な需要源は工業分野です。
銀は熱伝導性と電気の伝導性が非常に高いため、工業材料として広く利用されています。
銀といえばアクセサリーや食器などの身近なものを想像しがちですが、実はそれらよりも電子機器や太陽光発電などの分野に大きな需要があります。
これらは近年重要になってきている分野でもあるので、銀の需要が急増して銀価格が急騰しました。
銀の需要が拡大すれば、シルバーアクセサリーなどの価格も上昇する可能性が高いと言えます。
また、銀の価格は世界情勢の変化にも大きく左右されます。
工業需要が高いため、景気変動や政治不安の影響が銀の価格に影響を及ぼします。
2019年末に起こったパンデミックによる景気後退は、銀価格の下落を招きました。
決定要因③:金価格の変動
こちらもマクロな視点で分析したものになります。
金の価格の動向も銀の価格に影響を及ぼします。
銀も金と同様に貴金属の一種であり、安定資産として広く認知されています。
投資家が貴金属に対する投資を増やせば、市場原理としてこれらの価格が上昇します。
こういった事情もあり、金の価格は上昇すると銀の価格も一緒に上昇する傾向があるのです。
まとめ
本記事をまとめます。
シルバーアクセサリーに興味のある方であれば、本記事の内容はかなり勉強になるものだったのではないでしょうか。
我々の身近な物としては、スターリングシルバーが最も多く流通していますが、あえてブリタニアシルバーやシルバープレートを選んでみるのも面白いですよ。
アクセサリー探しの際の事前知識として、ぜひ本記事で得た内容をご活用ください。