読者の知りたいこと
『ポリスマン』って初めて聞いたけど、どんなブーツなの?
レッドウィングマニアの間でも「屈指の激レアモデル」と名高い『ポリスマン』を入手しましたので、紹介していきます。
2014年に東京青山で発売されて以来、中古市場でも滅多にお目にかかれない、入手困難な一足です。
一見すると、アイアンレンジャーやラウンドトゥブーツに近い外観を持っていますが、随所に独自のディテールが施されています。
実はこのモデル、1950年代に誕生したポリスマン102と、2013年に登場したアイアンレンジ・マンソンをベースとしています。
本記事では、謎に包まれた『ポリスマン』の魅力を、写真付きで徹底解説していきます。
レッドウィング8840『ポリスマン』の外観・特徴
『ポリスマン』を初めて見るという方も多いと思いますので、まずはその外観と、細部の特徴をお見せします。
ポリスマン8840の外観
『ポリスマン』は一見、アイアンレンジャーやラウンドトゥブーツに近い外観を持っています。
しかしよく見ると、定番のモデルたちにはない、独自のディテールが施されています。
まずは全体像をご覧いただき、その後、各ディテールを詳しく解説していきます。







パンチドキャップトゥ

ポリスマンには、アイアンレンジャーと同様に「キャップドトゥ」と呼ばれるつま先の当て革が採用されています。
アイアンレンジャーとの違いは、「パンチドキャップトゥ」仕様であること。
「パンチドキャップトゥ」とは、つま先の当て革とその切り替え部分に「パーフォレーション」と呼ばれる穴飾りを施したデザインのことです。

よく似た言葉に「メダリオン」があります。
「メダリオン」が幾何学模様で装飾されるのに対し、「パーフォレーション」は大小の穴を連続して配置した装飾であるという違いがあります。

これらの穴飾りの起源は16〜17世紀ごろと言われています。
スコットランドおよびアイルランドの高地に住むケルト系民族・ゲール人が履いていた労働靴がルーツとなっています。
湿った地域を移動する際に、水はけを良くするために、穴飾りが施されました。
非常に長い歴史を持ち、今日ではドレスシューズの定番デザインの1つとして親しまれています。
ポリスマンはこの「パーフォレーション」により、ワークブーツらしからぬドレッシーな雰囲気を醸し出しています。
まるでドレスシューズブランドから出ているブーツのような、上品な佇まいが魅力です。
後述しますが、ポリスマンはレッドウィング・ラインナップにおいて、アイアンレンジャー系統に属します。
同じくアイアンレンジャー系統であり、メダリオンが施されたモデルとして、『ブローグレンジャー』が存在します。
共通点の多いモデルなので、気になる方はぜひブローグレンジャーの記事もご覧ください。
木型はマンソンラスト

ポリスマンには「マンソンラスト」という、特別な木型が採用されています。
レッドウィングのブーツは、通常レッドウィング社のオリジナルラストを使って作られますが、ごく一部例外があります。
マンソンラストやミルワンラストなんかがそうですね。
ちなみに『マンソンブーツ』と『マンソンB-5チャッカ』は、ナイジェル・ケーボン社とのコラボモデル。
新たなマンソンラストブーツの登場に期待です。
8番ラストに近い履き心地なので、アイアンレンジャーらと同じサイズで問題ありません。
僕の場合は実寸サイズがベストですね。
レッドウィングのサイズ選びの記事も書いていますので、そちらも合わせてご覧ください。
トラクショントレッド・ソール

「クレープ・ソール」の名でも親しまれる白いフラットソールが使われています。
ベースモデルのアイアンレンジ・マンソンや、類似モデルのブローグレンジャーには、ドレス色の強いニトリル・コルク・ソールが使われていました。
本来であればニトリル・コルク・ソールがよく似合うでしょう。
しかし、ポリスマンにはあえてトラクショントレッド・ソールを採用。
「ドレス×ワーク」という相反するイメージを融合によって、ポリスマンにしか出せない、独特の雰囲気を生み出しています。
ちなみに、トラクショントレッド・ソールを採用したアイアンレンジャーには、8088と8089の2モデルがあります。
『アイアンレンジャー/トラクショントレッド』という名称で販売されています。

ブラッククロームレザー

かつてはレッドウィングの定番だった、ブラック・クロームレザーを採用しています。
廃盤化が相次いだ影響で、現在では少数のモデルにしか使われなくなってしまったレザーです。
分厚い塗膜に覆われたオイルドレザーで、レッドウィングらしい無骨さを備えた革です。
ポリスマン8840にはブラック・クロームが、8841にはチョコレート・クロームが使われています。
アイアンレンジ・マンソンとの違いは、このクロームレザーと、先述したトラクショントレッド・ソールの2点です。
なのでポリスマンは、アイアンレンジ・マンソンのブラックバージョン・ダークブラウンバージョンと言われることもあります。
クラシックドレス色の強いデザインに、無骨なオイルドレザーを合わせているのが面白いですね。
先ほどのトラクショントレッド・ソールにも見られましたが、「ドレス×ワーク」という相反するイメージを融合させたかのようなブーツです。
ちなみに、アイアンレンジャーには8080という品番が存在し、こちらにもブラック・クロームが使われています。
廃盤モデルですが、「クローム・レンジャー」が欲しいという方にはオススメの一足です。
レッドウィング社における『ポリスマン』の歴史

『ポリスマン』という名称を聞いて、思い浮かぶモデルはありませんか?
そう、『ポストマン』ですね。
実は、ポリスマンとポストマンの間には深い繋がりがあります。
- アイアンレンジャー系統じゃなかったの?
- ポリスマンとポストマンって、全然デザイン違くない?
そう思われた方も多いのではないでしょうか?
実は、ポリスマンのルーツに秘密が隠されています。
この章では、ポリスマンの起源とポストマンやアイアンレンジャーとの関連性について解説していきます。
1950年代:起源となるポリスマン102が誕生

1950年代、レッドウィングは郵便配達員と警察官に向けた靴として、『ポストマン101』と『ポリスマン102』を発売しました。
ポストマン101は現在に至るまで定番の短靴として親しまれていますが、ポリスマン102についてはご存知ない方も多いでしょう。
その外観は「ポストマンのブーツver.」と呼べるものでした。
ブラックのレザーとトラクショントレッド・ソールを備えた、9ホールの6インチ丈ブーツ。
このポリスマン102こそが、ポリスマン8840の祖先なのです。
ポリスマンの起源102は、約5年間の販売の後、レッドウィング社のラインナップから姿を消します。
2014年:ポリスマン8840・8841が登場

2014年、アイアンレンジ・マンソン(後述)をベースとした『ポリスマン8840』『ポリスマン8841』が登場します。
8840にはブラック・クロームが、8841にはチョコレート・クロームが採用され、ソールにはトラクショントレッド・ソールを採用。
レッドウィング直営店限定で発売されましたが、当時の直営店は東京青山の1店舗のみでした。
東京でしか買えなかったことに加え、生産数も少なかったため、現在でも2010年代屈指の激レアモデルとなっています。
1950年代のポリスマンがポストマンの系譜にあたるのに対し、2014年のポリスマンはアイアンレンジャーの系譜にあたります。
そのため、ポリスマン8840・8841には、アイアンレンジャーと同じキャップドトゥやスピードフックが採用されています。
唯一の共通点といえば、トラクショントレッド・ソールくらいでしょうか。
しかも元の102には黒いソールが使われていました。
8840と8841は、「ポリスマン」の名を受け継ぎながらも、オリジナルのポリスマン102とは異なる特徴を持つブーツです。
2015年秋冬:ポストマンブーツ9197が復刻
翌年2015年には、1950年代のポリスマン102の復刻モデルである『ポストマンブーツ9197』が発売されます。
公式では「ポリスマン」という名称は使われず、あくまで「ポストマンのブーツver.」という位置付けでした。
しかし、元をたどるとポストマン101を6インチ丈にしたものが『ポリスマン102』です。
当時のポリスマン102を強く意識したモデルであることは間違いありません。
実際に、レッドウィング・アムステルダムでは『ポリスマンブーツ9197』と紹介されています。
The new Red Wing Shoes 9197 6" Policeman Boot is now available to purchase at… https://t.co/5Tur939CwN
— Red Wing Store AMS (@RedWingAMS) July 25, 2015
1つ違いをあげるとすれば、「SR/USA (SlipResistant / Made in USA)」のタグが付けられていることです。
これは、USポスタルサービスが郵便配達員に対し、指定のタグが付いた靴を着用するよう義務付けていたことに由来します。
現代のポストマン101に付けられているタグと同じものですね。
ポリスマン102の正統な後継モデルという点では、8840・8841よりも、ポストマンブーツ9197の方が近い存在です。
『アイアンレンジマンソン』がベース!?
先述したように、ポリスマンには『アイアンレンジマンソン』というベースモデルが存在します。
アイアンレンジ・マンソンは、2013年秋冬に発売されたモデルで、アイアンレンジ(当時の名称)をマンソンラストとパンチドキャップトゥにカスタムしたモデルです。
カラー展開は2色で、ホワイトアッシュ・セトラー8011と、バーガンディ・セトラー8012が用意されていました。
セトラーレザーは、オイルを含ませずに鞣したフルグレインレザーに、分厚い塗膜を施した革です。
艶やかで均一感のある風合いが特徴で、ヴィンテージのドレスシューズを彷彿とさせる、どこか懐かしい雰囲気を漂わせています。
このアイアンレンジ・マンソンの革をクロームレザーに、ソールをトラクショントレッド・ソールに変更したものが、ポリスマン8840・8841というわけです。
「アイアンレンジ・マンソンの色違い」と言っても良いかもしれません。
名前だけではアイアンレンジャー系のブーツとは分かりにくいですが、背景を知ると納得できますね。
2010年代屈指の激レアモデル
名作が多いと言われる2010年代のモデルの1つですが、その中でも群を抜いて希少性の高いモデルとなっています。
その背景には、発売当時は東京青山の直営店でしか購入できなかったことに加え、生産期間が短く、流通量が少なかったことがあります。
中古市場での流通量も少なく、今なおその存在を知らない人も多いモデルです。
僕は2026年9月4日に、Yahoo!フリマで購入しています。
メルカリで検索しても1足もヒットしなかったので、非常に運が良かったといえます。
どうしても欲しい方は、フリマサイトやHOPESMOREに出品されるのを、根気強く待ちましょう。
HOPESMOREでも「入手が極端に難しいモデル」「今後評価が上がっていく」と紹介されているので、見つけたら即買いするのもアリです。
サイズ選びは、通常のアイアンレンジャーと同じサイズで問題ありません。
マンソンラスト自体、8番ラストによく似た履き心地です。
レッドウィングのサイズ選びの記事も書いていますので、そちらも合わせてご覧ください。
カスタムには『ホワイツ』の革紐がおすすめ

ポリスマン8840のカスタムについても紹介します。
僕がオススメするのは、『WHITE'S BOOTS(ホワイツブーツ)』のレザーレースを使ったカスタムです。
このレザーレースは非常に評価が高く、レッドウィングをはじめとするワークブーツのカスタムによく用いられます。
ポリスマン8840は、黒いレザーと茶色のウェルト、白いソールからなる、黒×茶×白の3トーンが特徴です。
「ホワイツ」のレザーレースは焦げ茶とベージュの配色なので、ポリスマン8840の色合いにマッチします。


元のフラットワックスドレースではドレッシーな印象ですが、ホワイツのレザーレースに交換すると、ワーク感の強い雰囲気に変わります。
ポリスマンはドレスとワークの両面を持つブーツなので、シューレース次第でどちらの個性も際立たせることができます。
まとめ
本記事をまとめます。
- 『ポリスマン』は、2014年に東京青山店限定で発売された、2010年代屈指の激レアモデル。
- クロームレザー、パーフォレーション・キャップドトゥ、マンソンラスト、トラクショントレッド・ソールを採用している。
- 2013年秋冬に発売された『アイアンレンジ・マンソン』がベースになっている。
- ポリスマンの起源は1950年代に登場した102だが、そちらは「ポストマンのブーツver.」だった。
- ポリスマン102の正統復刻モデルに、2015年秋冬発売の『ポストマンブーツ9197』も存在する。
本記事では、2010年代モデルの中でも、特に入手が難しい『ポリスマン』を紹介しました。
中古市場でも滅多に現れないため、サイズが合うものを見つけたら即買いするのも良いでしょう。
今後ますます貴重になっていくはずです。







