読者の知りたいこと
男心をくすぐるアイテムであるzippo。
僕もzippoを愛してやまないファンの一人です。
zippoといえば絵柄のバリエーションを想像する方が多いのですが、実は”形状”、”素材”、”仕上げ”による違いもあります。
本記事ではzippoの形状・素材・仕上げの名称と特徴を、ライター専門店で2年勤務した経験を持つ僕が徹底解説します。
zippoの形状の名称と特徴
zippoの形状には8種類のタイプがあります。
1つずつ実際の写真をお見せしながら特徴を解説していきます。
レギュラーケース
最もベーシックなのがこの”レギュラーzippo”です。
現行仕様(現行形状)ともいうべきタイプのですが、以降にあげるレプリカzippoが定番として販売されているので、形状の1つという位置付けとなっています。
アーマーケース
”ARMOR=鎧(よろい)”の名を冠するアーマーケースはそのネーミングの通り、レギュラーケースの板の厚み0.5mmの1.5倍の厚みを持ちます。
装飾のないものでも重量は約70gに達し、ずっしりとした重厚感があるzippoです。
底にはARMORの頭文字である「A」の刻印があります。
アーマーケースには開閉音の良い個体が多い印象を受けます。
1932年・1933年レプリカ
zipoo社創業当時の形状を復刻した特別なモデル。
以降にあげるレプリカモデルとは異なり、定番という扱いではありません。どちらかといえばハイエンドラインといったイメージです。
初代zippoを忠実に再現しており、外ヒンジ、角張ったフォルム、背の高いフォルムが特徴です。現行のレギュラーケースと比較するとその違いがよく分かると思います。
1932年・1933年と2年を指している理由についても解説します。
1988年に初めて、復刻モデル1932年レプリカが発売されました。この時はzipooが1932年に製造を開始されたと勘違いされていました。
しかし、実際には1933年から製造を開始していたことがzippo社の資料で明らかになりました。
1988年の復刻モデルリリース時の名残がそのまま残ってしまっているということなのです。
この1932年・1933年レプリカ、実は製造年度によってレア度に差があります。
もちろんレプリカでないオリジナルが最も高価なのは間違いありませんが、1988年に発売された32年レプリカ”ファースト・リリース”、1997年に発売された32年レプリカ”セカンド・リリース”、33年レプリカ”ファースト・リリース”は発売期間が短く、非常にレアなアイテムとなっています。
写真でお見せしている私物はその後に再販されたものですが、それでも高価です。上記のようにレア度の高いものはより高価になります。
1935年レプリカ
1935年になると高さこそ現行のものに近づきますが、外ヒンジや角張ったフォルムは残っています。
無骨さを感じさせる男らしいデザインであり、僕が一番好きなのもこの35年レプリカ。
過去にシルバーコーティング(銀メッキの一種)がされたモデルが販売されていましたが、シルバーアクセでもあるかのような印象を受けました。
この35年レプリカにはデメリットも存在します。
1つ目に開閉音が良くないこと。2つ目にインサイドユニットが浮きやすいこと。
「カキーン」という開閉音はzippoの醍醐味の1つなので、音の悪さはデメリットに感じる人が多いでしょう。「カスン」という勢いのない音が響きます...。
これは外ヒンジの影響です。外ヒンジは非常にかっこいいディテールなだけに、少しもったいないですね。
また、インサイドユニットが浮きやすいという報告も多いのが特徴です。
僕も35年レプリカをメインで使用していた時期があるのですが、その個体も同様の現象が確認されました。
1937年レプリカ
1937年になるとヒンジが内側に収まるようになります。
上下は角張ったままですが、側面にはカーブが見られるようになります。
このことから「フラットトップビンテージ」とも呼ばれています。
37年レプリカは開閉音の良い個体がが多い印象を受けます。
しかし人気は低い印象です。やはり他の年代のものの方が個性が強く感じられ、気に入られやすい傾向にあります。
(あくまで専門店で勤務していた当時の印象です。)
ちなみに、37年レプリカの亜種としてボトムズアップと呼ばれるモデルが存在します。
角張った上下を活かし、底の刻印を上蓋にも施したもののことを指します。
このボトムズアップは37年レプリカの中でも根強い人気があります。
個人的なエピソードですが、僕は37年レプリカを地元の友人に、ボトムズアップを大学の先輩に、それぞれプレゼントしたことがあります。
他のモデルの影に隠れがちですが、個人的には思い出深いモデルです。
1941年レプリカ
1941年には形がガラッと変わり、上下がカーブし側面がフラットになります。37年レプリカとは対照的な形です。
のペっとした可愛らしいデザインが人気であり、初心者から歴戦のコレクターまで幅広い層に受け入れられています。
スリムケース
レギュラーケースを細くしたフォルムのzippo。
こちらもレギュラー、アーマーと並んで現行仕様の1つという位置付けです。
スリムなフォルムは女性人気も強く、カップルzippo(2つをくっつけるとハートなどの絵になる)では女性側を担当していることもあります。
開閉音は良くないことが多い印象です。小さいためか開閉時に勢いが出ないことが原因と考えられます。
フルメタルジャケット
アーマーケースの比でない厚さのケースを纏ったフルメタルジャケット。
鎧を超えた”完全鋼鉄装甲”ですね(笑)
種類は多くありませんが、クロスモチーフやドラゴンモチーフなど、ゴツいデザインのものが多い傾向にあります。
特別なモデルではあるものの、ドンキホーテで販売されていることもあり、入手難易度は高くありません。
「ライターに求めるものは個性だ!」だという方には、ぜひ一度手に取っていただきたいです。
zippoの素材の名称と特徴
zippoに使われている素材を紹介します。
素材ごとに価格や特徴が大きく異なるので、zippoの購入の際には知っておくべきことの1つです。
近年金属や革の価格が上昇を続けており、これらが素材に使われるzippoも価格改定を繰り返しています。
気になるアイテムがある場合は、お早めの購入をお考えください。
ソリッドブラス(真鍮)
最もベーシックなのがこのソリッドブラス(真鍮)です。
ほとんどのzippoはこの真鍮が素材になっています。
zippoの中でも最も定番のモデルである”200番”も真鍮を素材としています。
200番の定価は、約10年前は¥3,000+税でしたが、現在は¥4,800+税となっています。
真鍮もかなり値上がりしていますね。
この真鍮の素材感を最大限に活かしたのが、金色の真鍮無垢のモデル。
写真は僕が過去に使用していたもの(無垢にコインを貼り付けてカスタムしていました)ですが、真鍮の経年変化を楽しむことができるのがメリットですね。
少し使っただけで変化が始まるため、味が出やすいのも特徴です。
スターリングシルバー(純銀)
後述する純金を除いて、一般販売されているzippoの中で最も高価なのが、このスターリングシルバーです。
シルバー925(銀純度92.5%)はアクセサリーによく使われる素材ですが、これをzippoに使うという発想は面白いですね。
シルバーは柔らかい金属であるため、経年とともに微細な傷が刻まれていきます。
シルバーは光の反射率が90%に達する金属でもあるため、微細な傷が光を乱反射することで、複雑で美しい輝きを帯びていきます。
zippoを普段から持ち歩く方であれば、この経年変化をじっくりと楽しんでいただけます。
シルバーの柔らかさを活かし、エングレービング加工を施したタイプも存在します。
窪田クラフト、シルバーキング、D.E.OSCARがあげられますね。
シルバーキングについては個別の記事を書いていますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。zippoの写真を載せています。
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最高峰の彫金工房「シルバーキング」を徹底解説!激レアなバックル&ZIPPO/日本の販売代理店4選
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銀の高騰によりここ10年前で大きく値上げしました。
レギュラーケースのスターリングシルバーモデルは、約10年前には定価¥24,000+税でしたが、現在は¥44,000+税となっています。
今後は価格は上昇していくと考えられていますので、欲しい方はお早めに購入されることを推奨します。
スターリングシルバーのモデルはレギュラーケース、アーマーケース、スリムケース、1937年レプリカ、1941年レプリカに存在します。(希少なモデルになるとフルメタルジャケット等も存在しますが、一般販売モデルではありません。)
ソリッドカッパー(銅)
1960年代に初めてzippoの素材に銅が使われました。
長らく定番モデルとして一般販売されていたのですが、10年以上前に突如廃盤になりました。
廃盤になって久しいですが、コアなファンからの人気が高く、定期的に数量限定で復刻しています。
日本で銅といえば、10円玉を思い浮かべる人が多いかもしれません。
新品の10円玉がピンク味が強く光沢があるのに対し、使い込んだ10円玉は茶色く光沢がありません。
ソリッドカッパーのzippoも同様の経年変化をしていきます。新品から変化後までの過程が楽しいことも人気の秘訣でした。
ソリッドチタニウム
チタンは軽量性・耐摩耗性・耐腐食性に優れた素材であり、タフな使い方をするzippoにはぴったりの素材です。
実は長い間再販のない激レアモデルの1つ。
僕は専門店に勤務していたときに一度だけ、修理で持ち込まれた現物を見たことがあります。
持つと非常に軽くて驚いたことを覚えています。
後述するチタンコーティングと異なり、カラーはマットなグレーのみ。
マニア心をくすぐる一品であり、コレクション用途としてもおすすめ。
コーティング
真鍮に金属をコーティングをしたモデル。
コーティングには主にプラチナコーティング、チタンコーティング、シルバーコーティング、カッパーコーティングがあります。
プラチナ以外は無垢素材のzippoが存在しており、それらの廉価版とも捉えることができます。
しかし、外観や経年変化はその素材そのものであり、お手頃な価格でハイエンドzippoの感覚が楽しめる良いアイテムとなっています。
また、チタンコーティングには複数のカラーが存在します。
チタンは加熱時の温度で色が変化する金属であり、これを活かしてシルバー、ブルー、ブラックを展開しています。
革巻き
レザー(革)を巻いたzippoです。
もちろんzippo社の純正商品です。
使われている革はクロコダイル、リザード、パイソン、シャーク、エレファント、コードバン、牛革、松坂牛、アドバンティックレザー、ブライドルレザー、クロムエクセルレザー、レザーカービングなど。
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革といえば、なんといっても経年変化でしょう。
毎日使う人なら日々の変化をじっくりと楽しむことができます。
ブラッククラックル
第二次世界大戦中、真鍮は武器などに使われる貴重な素材でした。
材料難から苦肉の策として使ったのがスチール(鋼鉄)でしたが、スチールは錆びるのが難点。
その錆び止めとして生まれたのが、ブラッククラックル塗装です。
当時メッキ仕上げにすることもできなかったため、スチールの上に特殊ペイントを塗り、それを焼いてひび割れたような仕上がりにしました。このことから別名”ひび割れ塗装”とも呼ばれています。
「戦闘中に光が反射して敵軍に見つからないように、黒いひび割れ塗装をした」という説もありますが、zippo社の公式発言ではありません。
現行品としても販売があり、復刻版(レプリカ)の一類型です。
スチール
先述したように、真鍮が入手できず、苦肉の策として選んだのがスチールでした。
ニッケル
戦後間もない時期に生まれたモデル。
真鍮が潤沢に使用できなかったことから、今度はニッケルを採用をしました。
スチールに比べてやや黄身を帯びているのが特徴です。
18Kソリッドゴールド(純金)
実は金無垢のモデルも存在します。
18Kで作られたケースはずっしりとした重さと錆びない永遠の輝きを約束してくれます。
レギュラーケースタイプで200万円超え、ダイヤモンドを埋め込んだフルメタルジャケットタイプで1300万円超えという、ライターとは思えないとんでもない金額です。
高額ライターにはエステーデュポン、ダンヒル、クロムハーツなどがありますが、18Kのzippoはそれをも遥かに凌駕する超ハイエンドなライターです。
zippoの基本仕上げはサテーナとポリッシュ
Zippoにはサテーナとポリッシュという2種類の仕上げが存在します。
サテーナ(サテン・ブラッシュ)
ブラシで横線を入れて仕上げたのがサテーナ(サテン、ブラッシュとも言う)です。
ポリッシュに比べて加工が簡単なため、こちらの方が安価なモデルに位置しています。
(スターリングシルバーモデルは両仕上げとも同価格で販売しています。)
ライン部分はマットで指紋が目立たないのがメリットです。
ただしその分経年変化も少なめ。後述するポリッシュの方が激しく変化します。
ポリッシュ(ミラー)
ピカピカに磨いて鏡面に仕上げたのがポリッシュ(ミラーとも言う)です。
全面に磨きをかけているため、加工の手間がかかっており、サテーナよりも高価なモデルに位置しています。
(スターリングシルバーモデルは両仕上げとも同価格で販売しています。)
新品時はツヤがありますが、使っているうちに指紋や傷が目立ってきます。
これは経年変化による味として捉えると良いでしょう。
真鍮無垢、純銀のポリッシュタイプは経年変化を最大限に楽しむことができます。
zippoの絵柄には凄まじい数のバリエーションがある
先ほどまでに形状、素材、加工について解説してきましたが、zippoといえば絵柄のバリエーションも大きな魅力ですね。
ロングセラーの絵柄の他、コラボレーションモデルや数量限定モデルなど、zippoには凄まじい数の絵柄が存在します。
使うも良し、コレクションするも良し。
ぜひお気に入りの一品を見つけて、長く愛用してあげてください。
まとめ
本記事をまとめます。
zippoは非常に奥が深いライターです。
歴史を学ぶことで今よりもっとzippoが好きになります。
魅力の詰まったライターをぜひ一度、手に取ってみてください。