読者の知りたいこと
こういった疑問に答えます。
レッドウィングの人気レザー「ブラッククロンダイク」はベックマンフラットボックス(9060)、エンジニア(9268)、アイリッシュセッター(9874、9870)に採用されています。
茶芯が魅力のレザーで、既に廃盤になったものも含め、多くの品番に使われています。レッドウィングのファンならブラッククロンダイクのブーツを持っていることも多いと思います。
一方で間違った手入れの方法が出回っているのが現状です。
今回はそんなブラッククロンダイクの手入れをしてみました。
僕はアメカジファンとしてワークブーツの手入れには自信があります。
実際に手入れした写真をお見せするので、参考になるかと思います。
ブラッククロンダイクの手入れのよくある間違い3つ
レッドウィングのブーツの中でもブラッククロンダイクを使ったものは人気になる傾向があります。それだけ茶芯が魅力的なのでしょう。それゆえに持っている人も多くなります。
一方でブラッククロンダイクの特徴をよく理解せずに、間違った方法で手入れを行っている人が多いのも事実です。原因の1つに間違った情報が流れていることがあげられます。実際に僕も「この手入れは正しいとは言えない…」と思いながらサイトや動画を見ることがしばしばあります。
ここでは、ブラッククロンダイクの手入れで調べるとよく出てくる間違った方法を3つ解説します。
塗膜の上からオイルやクリームが浸透するという間違い
黒い塗膜の上からオイルやクリームは浸透しません。浸透しているように見えても実際は表面で伸びているだけです。
その証拠にブラッククロンダイクのブーツは雨の日に履いても革から水が染みません。跡も残らないのです。
これはつまり水が浸透していないということです。
水が浸透しない塗膜に、油は浸透しません。
水の分子量が18、対して油が約100~約1000(動物性か植物性などによって異なる)です。桁が違います。
分子量が大きいほど浸透力は悪くなります。
したがって、黒い塗膜の上からオイルやクリームは浸透しません。
ミンクオイルが適しているという間違い
レッドウィングジャパンの公式ではミンクオイルを推奨していますが、ブラッククロンダイクに強いオイル系は使わない方が良いです。
ブラッククロンダイクはロールコーターという方法で黒い塗膜をのせています。ロールコーターとオイルは相性が良くなく、オイルが表面の塗膜を傷つける可能性があります。
したがって手入れに使うのは乳化性のクリームが良いです。
ちなみにPT83、PT91などに使われていた茶芯仕様の昔のブラッククロームは油性塗膜を顔料でのせており、上記の問題は起こりません。
また、そもそも日本でミンクオイルをケアに使うことはおすすめできません。湿気の多い日本ではカビの原因になり得ます。
プレメンテナンスが必要だという間違い
この間違いもよく見ます。
ブラッククロンダイクは表面の塗膜が厚く、塗膜がしっかり残っているうちは中のオイルが蒸発しません。
したがって新品で購入したときのプレメンテナンスは不要です。手入れは味が出てから行えば良いのです。
ブラッククロンダイクの手入れの正しいやり方とは
ここからは正しいブラッククロンダイクのお手入れ方法を解説していきます。
黒い部分は汚れ落とし&磨くくらいでOK!もしくはノータッチでも良いくらい!
黒く残っている部分にオイルやクリームは浸透しません。
よってできることは以下2つです。
- 汚れを落とすこと
- 磨くこと
汚れ落としといってもリムーバーは不要です。乳化性クリームに含まれる有機溶剤や油分には汚れを溶かす効果があるため、クリームのみで十分です。
一度に取るクリームの量も少なめが良いです。塗膜がしっかりしているので少量でも十分伸びます。
薄く伸ばしたクリームで表面の汚れを取り去るように行うのがポイントです。
クリームを塗り終わったら、豚毛ブラシだけでなくポリッシュグローブも使って余分なクリームを取り除きます。
塗膜の傷みやベタつき防止のためにも、できるだけ表面にクリームの油を残したくありません。
ここで使うクリームですが、ツヤを出したい場合は蝋がしっかり入ったクリーム、マットに仕上げたい場合は蝋が少ない(または入っていない)クリームをお使いください。
もしくは、
汚れ落とし&磨きは栄養補給とは異なります。前者はあくまで外観を整えているだけです。
革が黒いうちは栄養補給が必要な段階ではありません。外観を整えるだけの手入れならわざわざしなくても良いと考えています。
茶芯が出たところはクリームを塗り込む
茶芯が出てきたところは黒い塗膜がはがれた状態になっています。黒かったときとは違い、油分の蒸発を抑えることができません。乾燥しないようにクリームを塗りましょう。
クリームの浸透を邪魔する塗膜がないため、茶芯部分からはクリームがちゃんと入っていきます。
また、ブラッククロンダイクは塗膜がのりやすいように表面を軽く擦ってから黒く塗装しています。
茶芯部分は毛羽立っているため、毛羽立ちを寝かせるようにクリームを塗るのがポイントです。
手入れ後の写真です。
ベタつきなく仕上げることができました。革の表面がきれいになり、さっぱりして見えます。
※ベタついていると、写真で見たときにギラついて見えます。この写真はギラついていませんね。
おすすめのクリームはモウブレイの「シュークリームジャー」or「デリケートクリーム」
ツヤありのクリーム
モウブレイ「シュークリームジャー」 ニュートラル(無色)
定番の乳化性クリームです。カラーは複数色ありますが、茶芯を活かすためにニュートラル(無色)を選びましょう。
蝋分がしっかり配合されており、ツヤ感のある仕上がりが期待できます。
ツヤ抑えめのクリーム
モウブレイ「デリケートクリーム」
蝋分が少ない乳化性クリームはこれがおすすめです。
デリケートクリームには革を柔らかくする効果もあります。ブラッククロンダイクはかたくて足が痛くなるという意見をよく耳にします。履きやすくするのにも一役買ってくれるので一石二鳥です。
まとめ
ブラッククロンダイクは厚い塗膜と茶芯が特徴のレザーです。
厚い塗膜のおかげで中の油分はなかなか蒸発しません。
したがって強いオイルを頻繁に塗るような手入れは不要です。
正しい手入れのやり方は以下の通りです。
・茶芯が出たところはクリームを塗り込む
モウブレイのシュークリームジャーとデリケートクリームがおすすめなのでご検討ください。
ブラッククロンダイクの手入れに迷われていた方は、ぜひ参考にしてみて下さい!