読者の知りたいこと
レッドウィングの人気モデル”ベックマン”。
クラシックな佇まいとフェザーストーンレザーという、唯一無二の魅力を持つブーツでしたが、2022年に突如廃盤に。
復活を望む声が多かったモデルの1つでした。
しかし2024年9月4日、ベックマンがついに復活を遂げます。
新作ベックマンは9419、9422、9423の3色展開でリリースされ、どれを買おうか迷われている方も多いのではないでしょうか?
また同時に、以前のものとどう変わったのか知りたいという方もいらっしゃるかと思います。
そんな方のために、本記事では新旧ベックマンの違いを、実際の写真を使って徹底解説していきます。
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旧ベックマン廃盤化の経緯
レッドウィング社を創業したチャールズ・ベックマンにちなんで名付けられた「ベックマンブーツ」。
同社が20世紀初頭に制作していたブーツをベースにし、現代的に再構築。2006年に誕⽣しました。
レッドウィングの中でも有数の人気モデルであったのにも関わらず、2022年に廃盤になっています。
廃盤になった理由は以下の2つです。
まず1つ目に、レッドウィング・アメリカ本社は2020年にサイバーテロ被害に遭っています。
そのことで同社はベックマンをはじめとした、ブーツの生産情報に関する資料を失いました。
加えて2つ目のパンデミックによる工場の稼働制限も痛手でした。
人員を投入できず、ベックマンの復活を試みることすらできない状況であり、結果として廃盤に。
レッドウィング社としても泣く泣くの決断だったのであろうと予想できます。
新ベックマンとして復活
ところが2024年9月4日、嬉しいニュースが舞い込んできます。
待望のベックマンがついに復活。
廃盤化以前のものと同じものではありませんが、ベックマンの特徴的なディテールはそのままに、要所要所にアップデートを施しています。
今回リリースされた新作ベックマンは9419、9422、9423の3品番で展開。
廃盤化以前のものとはレザーが異なるものの、類似したカラーのものが登場しました。
赤黒いカラーが特徴のブラックチェリーエクスカリバー(9419)、明るめのブランカラーが特徴のシガーエクスカリバー(9422)、革靴のように黒光りしたブラックエクスカリバー(9423)の3色ですね。
それぞれがかつてのブラックチェリーフェザーストーン、シガーフェザーストーン、ブラックフェザーストーンに対応しています。
レッドウィングの中でもクラシックドレスラインに位置するベックマン。
艶のある高級レザーとクラシックな佇まいが、足元を華やかに演出してくれます。
それでは、そんなベックマンが新旧でどう変わったのか、次の章で詳しく見ていきましょう。
新旧ベックマンの変更点
この章では新旧ベックマンの違いを見ていきます。
変更点は以下の6つです。
それでは、1つずつ解説していきます。
変更点① レザー:新作はエクスカリバー、旧作はフェザーストーン
新ベックマンにはエクスカリバーレザーを採用しています。
僕の印象は”気品のある艶革”。
クラシックドレスラインに使われるレザーの中でも、特にドレッシーな雰囲気を持つ素材です。
後述するフェザーストーンレザーに比べてややオイリーなのも特徴。
カラー展開はブラックチェリーエクスカリバー、シガーエクスカリバー、ブラックエクスカリバーの3色。
直営店や取扱店での欠品状況を見るに、ブラックチェリーエクスカリバーが人気のようですね。
対して旧ベックマンに使われていたのはフェザーストーンレザー。
原皮の中から5%程度しか採れない、特に滑らかな銀面を持つ箇所を厳選して使用しています。
クラシックドレスラインの名に恥じない、美しい輝きを放つ最高級のレザーです。
そんなフェザーストーンレザーにも名前の由来があります。
フェザーストーンとは、ミネソタ州レッドウィング市とその周囲一帯を指す地域名です。
S.B.Foot社(後にレッドウィング社の自社タンナーとなる)が、1872年にこの地域で誕生した当時から、鞣し工場のすぐ隣に地区名「フェザーストーン」を示す道標が立っていました。
レッドウイングの創業者「ベックマン」の名を冠するブーツに最もふさわしいレザーとして、S.B.Foot社の歴史を象徴する「フェザーストーン」と名付けられました。
またもう1つ由来があります。
「羽根(フェザー)のように優雅でしなやかな銀面と、石(ストーン)のように強靭な耐久性を併せ持つ」という、このレザーの特徴を的確に表現する言葉として、「フェザーストーン」と名付けられています。
カラー展開はブラックチェリーフェザーストーン、シガーフェザーストーン、ブラックフェザーストーンの3色。
こちらもブラックチェリーフェザーストーンが特に人気が高かったように感じています。
以上のことから、新作のエクスカリバーレザーと旧作のフェザーストーンレザーは、レザーの特徴やカラー展開が非常に似通っていることが分かります。
それもそのはず。同じベックマンブーツに使われているのですから、エクスカリバーレザーがフェザーストーンレザーを意識して作られていることは自然なことです。
変更点② ラスト:新作は224番ラスト、旧作は8番ラスト
一から作り直しているため、ラスト(木型)も別のものを使用しています。
新ベックマンのラストは224番・Dワイズ、旧ベックマンのラストは8番・Dワイズです。
新ベックマンは旧ベックマンに比べて、つま先と甲周りがタイトになっています。
直営店のスタッフの方に伺うと、新ベックマンは旧ベックマンよりもハーフサイズ大きいものを買うとフィットしやすいとのことです。
実際に僕も新旧両方とも履いてみましたが、確かにハーフサイズの差がありました。
僕は新ベックマンはUS8(26cm)、旧ベックマンはUS7.5(25.5cm)でぴったりでした。
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旧ベックマンに使われている8番ラストは、シャープでありながらもつま先に余裕を持たせたシルエットなので、足の実寸サイズちょうどでも問題なく履けましたね。
対して新ベックマンに使われている224番ラストはややタイトなフィット感です。細身でシュッとしており、きれいめなコーディネイトにも似合います。
変更点③ ハトメ:新作は上3つがスピードフック、旧作はすべてホール
新ベックマンはハトメの上3つがスピードフックになっています。
これはベックマンフラットボックスにも見られる仕様であり、着脱を容易にする効果があります。
旧ベックマンはすべてホール仕様だったので、この変更は嬉しいポイントです。
ちなみに、付属しているワックス加工の平紐はスピードフックと相性が悪い場合が多いですね。
フラットボックスもそうなのですが、紐をフックに引っ掛けにくく、しかも取れやすいという難点があります。
しかし新ベックマンには丸紐のタスランレースも付属しているので、そちらであれば相性の問題はありません。
今までに以上に使い勝手良く履いていただけるのではないでしょうか。
変更点④ ステッチ:新作は同色ステッチ、旧作はベージュステッチ
新ベックマンではステッチカラーを、それぞれのエクスカリバーレザーにマッチした同色カラーにしています。
これによってカラークリームで補色をしやすくなりました。
色の着色を気にすることなく手入れができます。
対して旧ベックマンでは一部にベージュ系のステッチが使われています。
細かいながらもアクセントとなるディテールでした。
ここに関してはどちらにも良さがありますね。
変更点⑤ アウトソール:新作はグロコードメダリオンソール、旧作はベックマンソール
新ベックマンではアウトソールにグロコード・メダリオンソールを採用しています。
ベックマンフラットボックスと同じソールですね。
対して旧ベックマンにはベックマンソールと言われる専用のソールが使われていました。
このベックマンソールは過去に変更があり、品番9011時代はウレタン製でしたが、品番9411時代にラバー製に変更になっています。(ブラックチェリーカラーの品番です。)
ラバー製に変更になったことで加水分解の心配がなくなりました。
ちなみに写真は9011時代のウレタン製のもの。
ご覧の通り加水分解でボロボロになっています。
話を戻しますが、今回のグロコード・メダリオンソールへの変更について、僕自身は好意的に捉えています。
ドレッシーなベックマンブーツとややゴツゴツしたベックマンソールの組み合わせも好きでしたが、個人的にはグロコード・メダリオンソールの方がクラシックでよく似合っていると思います。
旧ベックマンの廃盤前には、「ベックマンにもフラットボックスと同じソールを使えば良いのに。」と思っていたので、これが実現した形ですね。
変更点⑥ インソール:新作は踵にポロン素材、旧作はレザーインソール
新ベックマンはインソールのかかと部分にポロン素材を採用しています。
足裏の痛みや足腰への負担を減らすことができます。
今までポロンが使われていたのはスーパーソール、クラシックチェルシー、アイアンレンジャートラクショントレッド、ワークラインペコスなど。
うち3つが近年発売されたモデルであり、今レッドウィングではポロンインソール推しなのかもしれません。
今後もっとポロンが実装されたブーツが出てくる可能性がありますね。
まとめ
本記事をまとめます。
リニューアルして帰ってきたベックマンは、今まで以上に人気のモデルになりそうな予感です。
「以前ベックマンを狙っていたが、廃盤になったため買えなかった」という方でも、この新ベックマンならば欲しいと思えるのではないでしょうか。
アメカジからきれいめまで、様々なコーディネイトに合わせやすいので、幅広く使える一足が欲しいという方にもオススメです。