読者の知りたいこと
- レッドウィング8273ってどんなブーツ?
- レッドウィングに緑のエンジニアブーツがあるって聞いたけど本当?
レッドウィングの中でも名作として知られる、“幻のグリーンエンジニア 8273”を紹介します。
発売は1999年。
現在ではヴィンテージブーツの部類に入ります。
PT99やSTOVEPIPEなどのクラシック仕様に加え、
茶芯のグリーンレザーを採用した非常に珍しいモデルです。
本記事では、8273を所有している僕が、実際の写真を使って詳しく解説していきます。
レッドウィング8273は幻のグリーンエンジニア

まずはレッドウィング8273の概要から紹介します。
レッドウィング8273の外観
レッドウィング8273の外観をお見せします。
“幻のグリーンエンジニア”の異名を持つ通り、グリーンのレザーを採用したエンジニアブーツです。
茶芯仕様でもあり、僕の所有する8273もつま先に茶芯が現れています。






茶芯のカンガタンポーテージレザー

グリーンレザーの正体は「カンガタン・ポーテージレザー」です。
1999年に初登場したレザーで、2014年に復刻されましたが、現在は生産されていません。
最後に作られたのが10年以上前であり、8180と8273の2種類にしか採用されなかったため、今では知る人ぞ知る幻のレザーとなっています。
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深緑、ダークグリーン、カーキ、モスグリーンなどと呼ばれる暗いグリーンカラーが最大の特徴です。
茶芯レザーでもあり、履き込むと経年変化で地の茶色が出てきます。
深緑×茶芯の組み合わせはレッドウィングのレザーの中でも、このカンガタン・ポーテージレザーのみです。


カンガタン(Kangatan)を意味する英単語は存在しないので、レッドウィングによる造語ということになります。
公式からの発表はありませんが、おそらくはカンガルー(Kangaroo)がベースになっています。
なぜカンガルー?
緑のカンガルーレザーを採用した“スポーツブーツ888”をルーツに持つためです。
スポーツブーツ888(通称:トリプルエイト)は1964年に発売されたモデルです。
正式名称は、スポーツブーツ「スーパーセッター」“888”。

非常に変わったデザインのブーツですが、ここで解説したいのは使われているレザー。
なんとグリーンのカンガルーレザーが使われています。

この888をオマージュして作られたのが、次でも紹介するアイリッシュセッター6インチモックトゥ8180。
888のモックトゥとグリーンレザーを受け継いだモデルです。
そしてこの8180(と8273)に採用されたのが、カンガタン・ポーテージレザーというわけです。
これがカンガルーとカンガタンの繋がりですね。
1999年発売8180の同期モデル

先述した通り、1999年に初登場したカンガタン・ポーテージレザーは、8180と8273の2モデルに使用されました。
8180と8273は同期モデルということになりますね。
また、888という共通祖先を持つ「従兄弟モデル」であるとも言えます。
8180は2014年にカンガタン・ポーテージで、2026年にアルパイン・ポーテージで復刻しています。
8180については個別の記事を書いていますので、気になる方はぜひこちらもご覧ください。
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8273のクラシカルなヴィンテージ仕様
8283は1999年に発売された旧いモデルです。
そのため、現行のエンジニアブーツでは失われてしまった、数々のヴィンテージディテールが見られます。
こうしたクラシックな仕様も8273の魅力です。
8273の持つヴィンテージディテールは以下の6つです。
- PT99
- STOVEPIPE
- プレス式バックル
- 製品情報スタンプ
- 内側の塗装
- 無地の中敷
それぞれ詳しく解説していきます。
PT99

PT99とは、以下を意味する略称です。
T:Test(テスト)
99:99年
1999年にアメリカの工業規格「ANSI規格」に適合したスチールトゥであることを示しています。
このPT99規格は、レッドウィングのブーツでは2000年代半ば頃まで採用されていました。
「PT⚪︎⚪︎」で1番有名なのはPT91ですね。
PT91期と言えば、茶芯だった頃の2268と、毛足が長くベルト位置の低い8268が有名です。
この2モデルは、ヴィンテージ市場でも特に高い人気を誇っています。


PT83はPT91より前に存在した規格で、レッドウィングにおける最古のPT規格です。
PT83のエンジニアブーツは、PT91とほとんど同じ仕様を持っています。
中古市場での流通数がPT91より少ないため、知名度もPT91ほど高くありません。
STOVEPIPE(ストーブパイプ)
ブーツの履き口の筒のことをシャフトといいます。
2006年以前のレッドウィングのエンジニアブーツは、シャフトが現行のものよりも細く設計されていました。
この細く絞られたシャフトをレッドウィングでは「STOVEPIPE(ストーブパイプ)」と呼んでいます。
現行のエンジニアブーツは、履きやすさを考慮してシャフトが太めに設計されています。
下の写真は、STOVEPIPE仕様の8273(左)と、現行仕様の2268(右)の比較したものです。
8273はシャフトが細く、シャープな設計であることが分かります。




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そんなときはブーツストレッチャー、革のすべり剤、ブーツホーン、ブーツジャックの4つを使うことで解決できます。
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プレス式バックル


1990年代のレッドウィングでは、プレス製法のバックルを採用していました。
地味なディテールではありますが、ヴィンテージエンジニアを語る上では欠かせないポイントです。
製品情報スタンプ

現行仕様のエンジニアはタグに製品情報(品番、ワイズ、サイズ等)を記載しています。
対してヴィンテージである8273は、内側にスタンプで製品情報が印字されています。
普段は見えない箇所ではありますが、こうしたディテールからもしっかり当時の雰囲気を感じられます。
内側の塗装

裏革が表革と同じ色で塗装されているのもヴィンテージの特徴です。
この特徴は、PT91期の茶芯2268にも見られます。
PT91期の2268は茶芯をウリにしていたわけでありません。
茶色の革の上から黒を乗せ、黒い革「ブラック・クロームレザー」として製品化していただけなのです。
あくまで“黒”として販売するため、内側も黒く染めていたのでしょう。

これは、深緑のカンガタン・ポーテージレザーにも同じことが言えます。
一方、復刻版の9268では、裏革が茶色になっています。
茶芯をウリにしているブラック・クロンダイクレザーでは、分かりやすいように内側も茶色くしたのでしょう。

無地の中敷

PT99期のモデルなので、無地の中敷が使われています。
この中敷は2000年代半ば頃まで採用されていました。
現行の中敷にはレザーにブランドとロゴが刻印されています。
カンガタン8273と類似レザー採用モデルを比較

カンガタン・ポーテージは茶芯×深緑という、他に類を見ない珍しい特徴を持つレザーです。
現行レザーの中で、比較的似ていると言われているのは以下の2つ。
それぞれ茶芯、深緑色という特徴を持っています。
- ブラック・クロンダイクレザー(茶芯)
- アルパイン・ポーテージレザー(深緑)
カンガタン・ポーテージレザーの特徴をより深く知るため、上記2種類のレザーと比較してみました。
茶芯のブラッククロンダイク9268と比較

9268は茶芯の黒革「ブラック・クロンダイクレザー」を採用したモデル。
PT91期の2268を復刻したブーツで、8273と同様にクラシカルなディテールが見られます。
ヴィンテージ仕様の茶芯エンジニアという点で、8273とは多くの共通点を持ちます。
比較すると、クロンダイクの方がツヤが強いですね。
塗膜はクロンダイクの方が分厚く、肌目のナチュラルさに違いが見られます。
当然、経年変化として現れる履きジワやヒビ割れにも違いが出てきます。


カンガタンはクロンダイクに比べて、自然な革の表情を残した茶芯レザーという印象です。
深緑のアルパインポーテージ8078と比較

2023年に初登場した深緑革「アルパイン・ポーテージレザー」は、発表当初からカンガタン・ポーテージと比較されていました。
両レザーとも、スポーツブーツ888のカンガルーレザーをオマージュして企画されています。
今回はアルパイン・ポーテージのアイアンレンジャー8078を使って比較を行っていきましょう。
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アルパインはカンガタンと違い、茶芯ではありません。
しかし、芯までは染められていないため、履き込むと擦れた箇所が白っぽくなります。
塗膜はアルパインの方が薄いですね。
履きジワもアルパインの方が細かいことが見て取れます。
色味については、アルパインの方がやや赤みの強い印象です。


また、手入れの方法にも違いが見られます。
カンガタンにはオイルドレザー向け、アルパインにはツヤ革向けの手入れが推奨されています。
一見よく似たレザーですが、それぞれに異なる魅力があるということですね。
購入するときは中古市場を探す
1999年に発売されて以来、再販がされていないため、入手困難なモデルとなっています。
ただし中古市場では一定数出回っているため、根気よく出品を待てば、自分のサイズのものに巡り会える可能性があります。
僕はラクマで¥89,800(送料込み)で購入。
本記事の写真を見てもらえば分かる通り、非常に綺麗な状態でした。
サイズや状態にも寄りますが、価格は5万円〜9万円と考えておくと良いでしょう。
他にもメルカリ、ヤフオク、Yahoo!フリマもおすすめ。
特にメルカリは最も出品数が多いので、欲しい方は必ずチェックしておきたいですね。
また、実店舗なら東京・三宿にあるヴィンテージブーツショップ「HOPESMORE」もおすすめ。
公式オンラインストア、メルカリShopsにも出品しているので、都内の方でも商品を買うことができます。
セカイモンは、海外の出品者から商品が購入できるショッピングサイトで、LINEヤフー系列の企業が運営しています。
大手サイトなので安心ですし、日本語で探し、日本円で購入できる手軽さも魅力。
日本で玉数の少ないヴィンテージモデルなども見つけやすいので、8273のようなけっこう前に発売されたモデルを探すときに重宝します。
ぜひ下のリンクから探してみてください。
まとめ

本記事をまとめます。
- レッドウィング8273はカンガタン・ポーテージを採用したエンジニアブーツ。
- 同じく1999年に発売された、カンガタン・ポーテージの6インチモックトゥ8180と同期モデル。
- PT99期の製品なので、STOVEPIPE、プレス式バックル、製品情報スタンプなどのヴィンテージディテールが見られる。
- 類似レザーを採用した9268(ブラック・クロンダイク)、8078(アルパイン・ポーテージ)と比較した。
- 1999年に発売された以来、一度も再販されていないので、入手は困難。探すときはフリマサイト、ヴィンテージショップ、セカイモンをおすすめする。
“幻のグリーンエンジニア 8273”は、知る人ぞ知るレッドウィングの名作モデルです。
ヴィンテージ市場でもファンからは高い評価を受けています。
僕自身、ずっと欲しかった一足で、ようやく手に入れました。
入手は困難ですが、持っていたら自慢のできる一足です。
本記事を読んで8273が欲しくなった方は、ぜひ中古市場で探してみてください。


