読者の知りたいこと
適切な方法で磨いてやることで、革靴は見違えるほど綺麗になります。
革靴を長持ちさせる上でも必ず必要な作業になります。
しかし初心者の方をはじめ、実は正しいやり方がよく分かっていないという方も少なくありません。
僕は前職が営業だったため、身だしなみとしてよく革靴のお手入れをしていました。
そんな経験から靴磨きについては自信があります。今では靴磨きが趣味となっていますね。
本記事では僕が初心者の方にも分かりやすように、写真を使って靴磨きのイロハを解説していきます。
革靴の磨き方を順番に解説!
磨くのはスコッチグレイン インペリアルⅢ ボルドー(バーガンディ、赤茶色とも言う)です。
こちらがお手入れ前の状態。色のくすみと傷が見られますね。
ここからどのよう変わるのか楽しみです。
準備するもの
まず準備するものは下の通りです。
クリックすることで画像を拡大できますので必要な方はご覧ください。
補足
- シューキーパーを入れることでシワが伸び、手入れがしやすくなります。後述するブラッシングやクリーム塗布の工程で効果を発揮します。
- ポリッシュクリームは本編では使いません。手順「⑥鏡面磨き」に相当する別の記事で詳しく説明しています。
-
革靴のモルトドレッシングの手順を解説!メリットやおすすめのウイスキーとは?
続きを見る
それでは順を追って解説していきます。手順は以下の通りです。
②馬毛ブラシでほこり落とし
③クリーナーで表面の古いクリームや汚れを取り除く
④シュークリームを塗る
⑤豚毛ブラシでクリームをなじませる
★完了★
⑥お好みで鏡面磨き
手順①:靴紐を取る
靴紐を取って手入れをするのがおすすめです。
タンの部分には見えないほこりや汚れがたまっています。
スケオ流アドバイス
手順②:馬毛ブラシでほこり落とし
次に馬毛ブラシを使って靴全体のほこりを落としていきましょう。
この工程は地味ながら超重要です。ここでしっかりほこりを落としておかないと、後から塗るクリームのノリが悪くなってしまいます。
靴全体のよごれをかき出すようにブラッシングしてあげましょう!
スケオ流アドバイス
シワが伸びて汚れを落としやすくなりますよ。
木製シューキーパーだと重いので、お手入れするときはプラスチック製を使うのもアリです。
タンとコバの部分も忘れずにブラッシングしましょう。ここには小さいブラシを使うのがおすすめです。
手順③:クリーナーで表面の古いクリームや汚れを取り除く
靴の表面には前回手入れしたときに塗った古いクリームや汚れが付いています。
クリーナーを使ってこれらを取り除きます。
スケオ流アドバイス
たまに毎回すべきであるという記事を見ますが僕はおすすめしていません。
ここは後述の「注意すべき点」で解説しています。
手順④:シュークリームを塗る
ここまできてやっとシュークリームが出てきます。クロスにクリームを取って靴に塗っていきましょう。
ポイントは一度に塗り過ぎないことです。少量を薄く全体的に塗り伸ばしていくイメージです。
1度に取るクリームの量は写真を参考にしてみてください。写真の量くらいずつ複数回に分けて塗布していきます。
ここでもシューキーパーを入れて作業することをおすすめします。
革のシワがピンと伸びることで、クリームをすみずみまで塗布することができます。
スケオ流アドバイス
指で塗ると手の体温でクリームが溶けて塗り伸ばしやすいという話は聞きますが、ここはお好みで良いかと思います。
ちなみに僕はクロス派です。理由はクリームで指が汚れるからです(笑)
手順⑤:豚毛ブラシでクリームをなじませる
豚毛ブラシで全体を強めにブラッシングします。
ブラッシングの摩擦でクリームを革の表面に染み込ませるイメージで行いましょう。
またこの作業には余分なクリームを除去する効果もあります。
★完了★
お手入れが完了しました!!
beforeとafterを比較すると色が鮮やかになり、傷も目立たなくなりました。
今回使ったシュークリームには蝋(ワックス)の成分も入っているのでツヤも出ています。
手順⑥:お好みで鏡面磨き
ここまで行うとさらに完成度が上がりますよね。
ただし少しテクニックが要るのと、特に初心者の方だと時間もかかるのでお好みで良いかと思います。
初心者にも挑戦しやすいのが、スコッチグレインが提唱するモルトドレッシングという手法です。
詳しく記事書いておりますので、さらにレベルアップしたいという方はぜひ記事をご覧ください。
-
革靴のモルトドレッシングの手順を解説!メリットやおすすめのウイスキーとは?
続きを見る
初心者におすすめの靴磨き道具を紹介!
参考までに本記事で僕が使用した道具を紹介します。
どれもスタンダードなタイプで価格もお手頃です。
初心者から上級者まで使っている定番アイテムなので、これらを選んでおけば失敗はないと考えています。
とはいえ、人によって好みや使いやすさは異なります。最終的には皆さんがご自身でお気に入りの道具を見つけていってほしいなと思います。
【馬毛ブラシ】コロニル HORSE HAIR POLISHING BRUSH
有名なメーカーから出ている定番アイテムなのため、ネットや東急ハンズなどで買えます。
レザーケアブランドの雄コロニルの純正品というのも惹かれるポイントですね。デザインも高級感があってGOODです。
毛色はブラックとブラウンの2種類。過去にはホワイトもありましたが現在は廃盤です。
【クリーナー】コロンブス ブートブラック ツーフェイスローション
水性汚れと油性汚れそれぞれに対応する2種のクリーニング剤が入っています。
容器の中で液剤が上下2層に分離しており、これらを混ぜ合わせるために振ってから使用します。
古いクリームはもちろん、飲食店でこぼした醤油(水性汚れ)や油(油性汚れ)も落とすことができます。
【クリーム】コロンブス ブートブラック シュークリーム
こちらも定番アイテムですね。乳化性クリームなのでベタつかず栄養補給ができます。
同シリーズ内にでニュートラル(無色)のカラーもありますが、個人的には革靴にはシューズの色と同色のクリームを用意した方が良いと考えています。(ブーツなどには無色を使うことが一般的です。)
歩いていると足元にある物に革靴をぶつけてしまい、革が削れることがあります。削れた箇所には元々染料がのっていないため白く削れてしまいます。
同色のクリームであれば補色することが可能なため、カラークリームでケアすることを強くおすすめします。
シュークリームは革にとって非常に重要な役割を果たします。
ブートブラックの中でも高級ラインである「ブラックライン」を使うことをおすすめします。
ネットでは普通に買えますが、店舗で買う場合には百貨店や革靴専門店にしか置いていません。東急ハンズなどでは価格の安い「シルバーライン」しか置いてありません。
どちらで磨いても大差は感じられないと思います。しかし、ブラックラインの方が良質な成分が使われているいるので、こちらを使うことをおすすめします。
金額差は200円程度です。そんなにすぐに使い切るものでもないため、こだわっても良いところであると考えています。
【豚毛ブラシ】荒川産業 ドイツブラシ PURE BRISTLES
こちらのアイテムの良いポイントは2つあります。
1つ目はとにかく価格が安いこと。お店では500円台で買えます。
2つ目は毛色が白のものがあり(黒もあります)、どの色の靴用なのかすぐに分かることです。毛が白いと写真のように使ったクリームの色を吸収しますので、磨く際の使い間違いを防ぐことができます。
使い間違いを防ぐという意味で、僕は持ち手の木の部分にマジックペンで「BK(ブラック)」、「DB(ダークブラウン)」、「BO(ボルドー)」、「TC(茶芯)」と書いています。
染まった毛色と併せて文字でも確認するようにしていますね。
3.注意すべき点は3つ
革靴を磨くにあたっての注意点を3つほど紹介します。
特に初心者の方は事前によく読んでおくことをおすすめします。
以下のことに注意しながら行い、失敗のリスクを回避しましょう。
注意点①:お手入れの頻度は10回履いたら行う程度に
いくら革靴には手入れが必要だと言っても、あまりにも頻繁に手入れをしすぎるのはかえって良くないです。
クリームを入れすぎると革が柔らかくなりすぎたり色が濃くなりすぎたりします。
1回のお手入れで10回履くくらいは持ちますので、そのくらいの頻度で考えておきましょう。
注意点②:クリーナーは毎回使うべきではない
ここは意見が分かれるところですが、高級靴専門店のスタッフの方の中にも、クリーナーを毎回使用することは控えるように言っている人もいます。
毎回使うべきではない理由は2つあります。
1つ目はクリーナーで靴そのものの染色も落としかねないからです。これは実際に高級靴専門店のスタッフの方から聞いたお話ですが、使いすぎると色を落としすぎてしまい、靴の色が薄くなってしまう恐れがあるとのこと。
2つ目はクリームに含まれている有機溶剤にも、汚れを溶かす効果があるからです。
乳化性クリームには有機溶剤が入っています。本来混ざらない水と油を混ぜることを乳化と言い、この乳化を行うために入れられているものが有機溶剤です。有機溶剤には汚れを溶かす作用があるため、実はクリーナー効果も兼ねています。
わざわざクリーナーを使わなくてもある程度の汚れは落とせているということですね。
注意点③:クロスと豚毛ブラシは靴の色の数だけ用意
クロスと豚毛ブラシは靴の色の数だけ用意しましょう。
ブラック、ブラウン、バーガンディの3色をお持ちなら3つずつ用意するということです。
茶色の靴に対して、黒の靴で使ったクロスと豚毛ブラシを使ってしまうと、黒いクリームの色が移ってしまいます。
まとめ
本記事をまとめます。
靴磨きは単なる作業に見えて実は奥が深く、やり始めるとハマる人も多いのです。
本記事で紹介した方法、おすすめの道具、注意点は初心者の方には参考になるはずですので、皆さんもぜひ革靴磨きにチャレンジしてみてください!