読者の知りたいこと
私は前職が営業職だったため身だしなみとして革靴の手入れをする習慣がありました。
独立してからもスーツでの仕事が多いため、今でも靴磨きは重要です。
今では靴磨きが趣味となっている私が、スコッチグレインの提唱する手法「モルトドレッシング」を紹介します。
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モルトドレッシングとはウイスキーを使った鏡面磨きのこと
鏡面磨きとは、基本的なお手入れをした後に行う艶出しの仕上げ方法です。 写真でも鏡のような光沢感が出ているのが分かると思います。
使用するものは、固形の油性クリーム(ワックス)と水です。
主につま先(トゥ)やかかとに対して行います。
呼び方は様々で、鏡面磨き、ハイシャイン、ミラーシャインなどがありますが、国産革靴ブランドSCOTCH GRAINが提唱する、水の代わりにウイスキーを使った方法のことを「モルトドレッシング」と呼びます。
今回はウイスキーを使ったモルトドレッシング方式を実演していきます。
こちらは鏡面磨き前の状態です。シュークリームで基本的なケアをしただけですので鏡のような光沢感はありません。ここからどのよう変わるのか楽しみですね。
メリットは水分量による失敗が少ないこと
モルトドレッシングの最大のメリットは、水の量が多すぎることによる失敗が起きにくいことです。
鏡面磨きは慣れるまでは難しいとよく言われます。初心者は水の量の調整がうまくできず、結果として光沢が出ないということが多いのです。
ここで重要になってくるのが「揮発性」です。
アルコールは水と比べて揮発性が高く、すぐに蒸発するので、量を取りすぎてもリカバリーが効きやすいのです。
これが水の場合、量が多いと水が乾ききらない間に上からどんどんワックスを塗り重ねてしまうため、いつまで経っても表面が安定しません。
結果としてうまくいかないことが多くなります。
なので私は水ではなくウイスキーを使うモルトドレッシング方式を推奨しています。
水分量の調整が難しい初心者でも失敗が少ないはずです。
【実演】モルトドレッシングのやり方、手順
さっそく実演に入っていきます。
準備するもの
まず準備するものは下の通りです。
クリック(スマホはタップ)することで画像を拡大できますので必要な方は見てみてください。
お酒の購入は必ず20歳になってからです(用途を問わず)。
それでは手順を追って解説していきます。手順は以下の通りです。
手順②:ウイスキーで湿らせた指先でワックスを取り、薄くコーティングしていく。
手順③:①と②を好みの光沢感になるまで繰り返す。
★完了★
手順①:指先に巻いたクロスにウイスキーを少量しみ込ませる。
ワックスの蓋にウイスキーを少したらします。
指先のクロスに軽く湿るくらいの量をしみこませます。
濡らしすぎた場合はクロスの乾いた部分で押さえて量を調整します。
手順②:ウイスキーで湿らせた指先でワックスを少量取り、薄くコーティングしていく。
ワックスだけだと固まっていて塗り込むことができません。
ウイスキーと指先の体温でワックスを溶かしつつ、薄くコーティングしていくようなイメージで塗り伸ばしましょう。
力を加えてはいけません。指先で軽くなでるくらいの感覚です。
手順③:①と②を好みの光沢感になるまで繰り返す。
鏡面磨きは、言ってしまえば「ワックスの薄い膜を何層にも塗り重ね、革の表面の毛穴を埋めていく作業」のことです。
数回では光沢は出ませんが、これを何回か繰り返していくうちに徐々に光ってきます。
徐々にワックスで毛穴が埋まり、ツルッとした質感に変わっていくのが分かると思います。
左足が鏡面磨きを行ったもの、右足がまだしていないものです。こんなに変わります。
★完了★
お好みの光沢感になったら完了です。基本的な手入れのみをした状態と比較してみましょう。
beforeとafterを比較するとその違いは一目瞭然です。
すごい人だと周りの景色まで反射するレベルの鏡面にします。尊敬です。
モルトドレッシングにおすすめのウイスキーは?
ところでモルトドレッシングに使うウイスキーはどんなものでも良いのか?
スコッチグレインの公式画像では、代表の廣川氏が愛飲する「THE DALMORE」が並べられていますが、"モルト"ドレッシングという名の通り、モルトウイスキーでないといけないのか?
結論を言うと、なんでも良いです(笑)
はい、本当になんでも良くて、コンビニで買えるもので構いません(笑)
ただし度数が高いことは重要ですので、他のお酒では代用できません。
私はJACK DANIEL'Sを使っていますが、問題なくできています。
せっかくなのでお好きなものをチョイスするのが良いです。
靴磨きついでに至福の時間を味わうのも、いかにも紳士の休日って感じで素敵です。
お酒の購入は必ず20歳になってからです(用途を問わず)。
失敗しないように注意すべきこと3選
モルトドレッシングは失敗が少ないとは言え、注意しておくべきこともあります。
ここでは3つほど紹介します。
- 手に取るウイスキーの量は少なめに。
- 少量ずつワックスを塗っていくこと。
- つま先とかかと以外には行わないこと。
手に取るウイスキーの量は少なめに
いくら揮発性が高いと言っても、一度に取りすぎないように注意しましょう。
あまりにも多いと水と同じように塗布面が安定しなくなります。
少量ずつワックスを塗っていくこと
水分量だけでなく、ワックスの量も重要です。
必ず少量を塗り重ねてください。
一度に量を取りすぎるとワックスの薄い膜を作ることができず、油が伸びたような鈍い光り方になってしまいます。
もし取りすぎたと思ったら、水分を追加して余分なワックスは抜き取ってください。
つま先とかかと以外には行わないこと
鏡面磨きは原則、つま先とかかと以外には行いません。
つま先やかかと周りには靴の形状を保つためにの固い芯が入っています。
ここだけは歩行のときも形状が変わりにくく、鏡面仕上げを維持できます。
しかし他の箇所は芯が入っておらず柔らかいので、鏡面仕上げをしたところで、歩いたときに靴に入るしわで鏡面がバキバキにひび割れてしまいます。
見た目もきれいではないですし、するだけ無駄なのです。
私が実際に使っているおすすめアイテム
鏡面磨きに使用するワックスは靴の色に合わせましょう。ニュートラル(無色)でも良いのですが、カラーありの方が鏡面部分とそれ以外の部分の濃淡が出やすく、こなれた印象になります。
参考までに私が使っているアイテムを紹介します。スタンダードでお手頃な価格のものが多いです。初心者から上級者まで使っている定番アイテムです。
人によって好みや使いやすさが異なるところでもありますので、ぜひ皆さんのお気に入りを見つけて下さい。
コロンブス ブートブラック シューポリッシュ
ブートブラックを使う理由はシュークリームもブートブラックを使っているからです。統一感という意味でそうしているだけで、それが革にとって良いとかはありません。
初心者だったときから使っていますが、本記事のやり方できれいに光らせられたのでずっと使い続けています。定番アイテムなので安心できるのも良いですね。
ちなみにスコッチグレイン銀座本店に置いてあるワックスもこのブートブラックです。
まとめ
本記事をまとめます。
- モルトドレッシングでは水の代わりにウイスキーを使う。
- ウイスキーの揮発性の高さを利用して、水分量の調整ミスを防げる。
- モルトドレッシングに使うウイスキーはなんでも良い。
- 注意点として、ウイスキーを多く取りすぎないこと、ワックスを多く取りすぎないこと、つま先とかかと意外には行わないことがあげられる。
鏡面磨きをすると革靴をより美しく魅せることができます。
最初は難しく感じてもコツをつかめば誰でもできるようになります。
モルトドレッシングなら初心者でも失敗が少なく、習得も容易なのです!
ぜひ実践してみてください。