読者の知りたいこと

パイソンレザー(蛇革)の手入れの方法は、実はあまり知られていません。
爬虫類の革であり、ウロコがあるため、当然牛革と同じ手入れの方法は推奨していません。
加えてパイソンレザーにはツヤ加工とマット加工という、表面加工の違いが存在するため、それらに合わせて手入れの方法を変えないといけません。
爬虫類用のケア剤をなんとなく使うだけではきちんとした手入れを行うことはできないのです。
本記事では多くのパイソンレザー製品を所有する僕が、表面加工や革の状態ごとに、最適な手入れの方法とケア剤を紹介していきます。
パイソンレザーはツヤ加工とマット加工で手入れ方法が異なる!
冒頭でもお伝えした通り、パイソンレザーは表面加工の違いで手入れの方法を変える必要があります。
パイソンレザーにはツヤ加工とマット加工という、2つの表面加工方法が存在します。
ツヤ加工とはその名の通り、表面にツヤを与えた仕上げのことを指します。
新品状態から表面がツルツルとしたツヤで覆われているのが特徴です。
ツヤ加工のパイソンレザーにはエキゾチックスプレーやレプタイルクリームといったケア剤を使用することができます。
これらのケア剤を使用することで、革に栄養だけでなくツヤを与えることができます。
経年によりツヤが失われてしまった革に、ツヤを取り戻すことが可能です。
対してマット加工とは、パイソンレザー本来の革質をそのまま残した、ツヤのないマットな仕上げのことを指します。
マット加工のパイソンレザーには先ほどのケア剤を使うことができません。
元々マットな仕上げであるのにも関わらずツヤを与えてしまうと、革の質感を大きく変えてしまう危険性があります。
ツヤを復活させる手入れは不要ということですね。
それでは次の章から実際にそれぞれのパイソンレザーの手入れを実演していきます。
ツヤ加工の手入れはエキゾチックスプレーorレプタイルクリームで!
- コロニル エキゾチックスプレー
- サフィールノワール レプタイルクリーム
同じツヤ加工のパイソンレザーでも、ツヤの飛び具合(失われ具合)によってケア剤を変えることを推奨しています。
具体的には
ツヤが十分残っている場合にはライトなケア剤であるエキゾチックスプレーを、
ツヤが残っていないほどエイジングが進行している場合にはより強くツヤを与えられるレプタイルクリームを推奨しています。
ツヤが残っている場合にはエキゾチックスプレー
今回手入れしていくのはこちらのパイソンショートブーツです。
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写真で分かるように、ツヤが十分残っている場合にはライトなケア剤であるエキゾチックスプレーを使いましょう。
ツヤの入れすぎを防ぎ、適切な量の栄養とツヤ感を与えることができます。
用意するもの
用意するものは馬毛ブラシ、エキゾチックスプレー、ポリッシュグローブの3つです。
※クリックで画像を拡大できます。
- 馬毛ブラシ
- コロニル エキゾチックスプレー
- ポリッシュグローブ
パイソンレザーはデリケートな革であるため、柔らかく革への圧が少ない馬毛ブラシやポリッシュグローブを使用します。
手順①:馬毛ブラシで汚れおとし
レザーの手入れでは同じみの馬毛ブラシを使って、革表面の汚れや埃をオフしていきます。
ここで必ず注意したいことはウロコに沿ってブラッシングをしていくこと。
パイソンレザーはウロコを持つレザーです。
ウロコに逆らってブラッシングをしてしまうと、ウロコが反ってしまいダメージの原因となってしまいます。
必ずウロコに沿ってブラッシングをするよう心がけましょう。
また、多くの製品には複数枚の革が使用されています。
パネルによって革の切り返しがなされているため、必ずウロコの向きを確認してからブラッシングしていきましょう。
手順②:エキゾチックスプレーを噴射
本記事で僕が紹介するケア剤はコロニルのエキゾチックスプレーです。
ツヤ加工専用のケア剤であり、クリームタイプに比べてライトな手入れを行うことが可能です。
十分ツヤが残っている場合にはこちらのスプレータイプの方が適しています。
また防水効果もあるため、パイソンレザーを雨などから守る効果も期待できます。
エキゾチックスプレーを軽く振り(ケア剤によっては振らないタイプもあるため、使用方法をよく確認しましょう)、
20cm程度離してスプレーしていきます。
この際、表面が軽く湿るくらいまで吹きかけていきます。
手順③:ポリッシュグローブで磨く
最後にポリッシュグローブで磨いてツヤを出します。
革表面に残った余分なスプレーを取り除く工程でもあります。
ここでもブラッシングの時と同様に、必ずウロコに沿って磨いていきます。
★完成★
手入れが完了しました。
最初に手入れしたのは右足(写真左側)です。
左足(写真右側)に比べて明らかにツヤが出ています。
全体のBefore・Afterを見てもツヤが復活していることがお分かりいただけると思います。
- before
- after
このように、一見ツヤが残っていても定期的な手入れは必要なのです。
ツヤが消えている場合にはレプタイルクリーム
今回手入れしていくのはこちらのパイソンウエスタンブーツです。
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こちらのウエスタンブーツは一見マット加工にも見えますが、実は元々ツヤ加工の製品です。
甲のツヤは消えていますが、踵を見るとツヤが残っていることが確認できます。
ヴィンテージアイテムのため、長年手入れがなされていない状態で保管されていたのでしょう。
僕の手元に届いた時からツヤはほとんど残っていませんでした。
特に甲のツヤ飛び(消え)が激しいため、軽いケア剤でツヤを復活させることは難しいでしょう。
したがって、より強力に栄養とツヤを与えられるレプタイルクリームを使っていきます。
用意するもの
用意するものは馬毛ブラシ、レプタイルクリーム、クロス、ポリッシュグローブの4つです。
※クリックで画像を拡大できます。
- 馬毛ブラシ
- サフィールノワール レプタイルクリーム
- ポリッシュクロス
- ポリッシュグローブ
こちらも先ほどと同様に、柔らかく革への圧が少ない馬毛ブラシとポリッシュグローブを使用します。
手順①:馬毛ブラシで汚れおとし
レザーの手入れでは同じみの馬毛ブラシを使って、革表面の汚れや埃をオフしていきます。
ここでも必ずウロコに沿ってブラッシングをしてください。
先述したようにパイソンレザーはウロコを持つレザーです。
ウロコに逆らってブラッシングをしてしまうと、ウロコが反ってしまいダメージの原因となってしまいます。
必ずウロコに沿ってブラッシングをするよう心がけましょう。
また、多くの製品には複数枚の革が使用されています。
パネルによって革の切り返しがなされているため、必ずウロコの向きを確認してからブラッシングしていきましょう。
手順②:レプタイルクリームを塗布
本記事で僕が紹介するケア剤はサフィールノワールのレプタイルクリームです。
ツヤ加工専用のケア剤であり、スプレータイプよりも強力に栄養とツヤを与えてくれます。
ツヤ飛びが激しい場合にはこちらのクリームタイプの方が適しています。
レプタイルクリームを少量クロスに取り、ウロコに沿って塗布していきます。
先ほどのスプレーと違って手で塗布するため、ウロコに逆らわないように注意して行っていきましょう。
手順③:ポリッシュグローブで磨く
革全体にレプタイルクリームを塗布したら、最後にポリッシュグローブで磨いてツヤを出します。
革表面に残った余分なクリームを取り除く工程でもあります。
ここでもブラッシングやクリーム塗布の時と同様に、必ずウロコに沿って磨いていきます。
★完成★
手入れが完了しました。
最初に手入れしたのは右足(写真左側)です。
左足(写真右側)に比べて明らかにツヤが出ています。
全体のBefore・Afterを見てもツヤが復活していることがお分かりいただけると思います。
- before
- after
Beforeはツヤがかなりなくなっていたので、手入れの効果が分かりやすいですね。
ヴィンテージ製品の場合は、1回の手入れで完全にツヤを戻すことは困難です。
定期的に手入れをすることで、徐々に新品時のようなツヤが戻っていきます。
マット加工の手入れはブラッシングのみで!
続いてマット加工のパイソンレザーのお手入れ方法を紹介します。
マット加工の製品の場合、ツヤ加工専用のケア剤が使えません。
なのでケア剤は使用せず、ブラッシングを行うことのみ推奨しています。
ブラッシングをするだけでも革表面の汚れや埃を落とし、革を綺麗な状態に保つことができます。
Before・Afterで外観上の変化はほとんどありません。しかし革にとっては重要な手入れなのです。
- before
- after

マット加工のバッグに対してツヤ加工製品向けのレプタイルクリームを塗布してみました。
- 塗布した部分がシミになる。
- 1日経てばシミは消える。
※日当たりの影響で色が変わって見えますが、塗布したのは一部分だけです。
最初は塗布した部分だけシミになりましたが、1日経てば元に戻りました。
このように、1回程度小さい範囲に塗布したくらいでは質感が損なわれることはありません。
しかし、長期的に塗布し続けると質感が変わってしまう可能性が高いです。
やはり結論としてはマット加工の製品にツヤ加工専用のケア剤を使用することは推奨できません。
水に濡れた場合はタオルで拭き、自然乾燥
最後にパイソンレザーが水に濡れてしまった場合の手入れについて解説します。
パイソンレザーは水に濡れるとシミになってしまいます。
マット加工の場合はより顕著ですね。
水に濡れた場合は速やかに乾いた柔らかい布で水分を拭き取ってあげましょう。
タオルだけで完全に水分を拭き取ることはできませんが、しないよりはマシです。
水に濡れた状態で放置するとシミや変色の原因となるため、できるだけ早くタオルドライして革表面に水分を残さないように心がけましょう。
タオルドライの後は自然乾燥するのが基本です。
間違ってもドライヤーなどで乾燥しないように注意してください。ダメージの原因になります。
まとめ
本記事をまとめます。
今回はあまり知られていないパイソンレザーの手入れの方法を解説しました。
今までパイソンレザーの手入れの方法に困っていた方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
本記事で使用したコロニルのエキゾチックスプレーとサフィールノワールのレプタイルクリームは、東急ハンズやECサイト購入できるので、ツヤ加工のパイソンレザー製品をお持ちの方はぜひ持っておいてください。