- 映画『Michael/マイケル』の感想を聞きたい。
- マイケルファンはどう感じた?
- 続編ってあるの?
世界中で大ヒットを飛ばしている伝記映画『Michael/マイケル』。
マイケル・ジャクソンの大ファンとして必ず観ておきたい作品だったので、僕も実際に観てきました。
大ヒットしていることは事実ですが、評価が分かれているのもまた事実。
本記事ではファン目線で映画をレビューしていきたいと思います。
一部ネタバレも含みますので、まだ観ていない方は一度ご自身で観てから本記事を読むことをおすすめします。
映画『Michael/マイケル』大ヒット上映中

本記事で取り上げるのは、史上最高のエンターテイナー『マイケル・ジャクソン』が主人公の伝記映画『Michael/マイケル』。
アメリカでは2026年4月24日に公開。
公開されるや否や、大ヒットを記録しました。
日本のファンが待ち望む中、ついに日本でも2026年6月12日に公開。
多くのファンが絶賛しています。

米ライオンズゲート社の作品として歴代世界興収1位を樹立し、世界興行収入が9億3,000万ドルを突破。
世界中でマイケル・ジャクソンの話題が盛り上がりを見せています。
映画の公開を記念して、マイケル・ジャクソン公式グッズストア『KING OF POP』が東京・大阪でポップアップストアを期間限定オープン。
さらには前年2025年にはSupreme、SEIKOといったブランドからマイケル・ジャクソンとのコラボアイテムが発売。
今まさに世界がマイケル・ジャクソンに熱狂している最中です。
僕が鑑賞したのは6月15日。
地元のマイケルファンの友人2人と観てきました。
ちなみに僕はマイケル・ジャクソン風のコーディネートで映画に臨みました(笑)
コーデの主役は『We Are the World』でマイケルが着用したナポレオンジャケット。
レイバンのアビエーターも添え、白い手袋、白いソックスも着用。
友人からも再現度の高さを褒められましたね(笑)


来場者はオリジナルポップコーンバッグやレコード風アクリルコースターを買うことができます。
売店には映画の制作秘話が綴られたパンフレットとマイケルの写真をふんだんに使った書籍が置いてあります。


他にもたくさんの公式グッズが「KING OF POP」のポップアップストア、公式サイト、楽天市場で販売されています。
描かれた時期はジャクソン5〜BADツアーまで

ここからは実際の映画の中身に入っていきます。
本作で描かれたのは、ジャクソン5時代から『BAD』ツアーまで。
マイケルがジャクソン5に加入したのは1963年なので、『Bad World Tour』の開幕1987年までの、実に24年分を127分(2時間7分)にまとめた形になります。
さて、アメリカ映画にはヴィラン(敵役・悪役)がつきもの。
ファンの方ならお気づきの通り、この時期の悪役はマイケルの実の父、ジョセフ・ジャクソンです。
時代が『Bad World Tour』までなので、本作のラスボスもジョセフです。
したがって、本作の物語の闇もジョセフに集約されています。
本作の見どころ
映画『Michael/マイケル』最大の見どころはなんといっても最高の再現度を誇る“名曲・名ダンスのメドレー”です。
これを実現したのが主演俳優であるジュリアーノ・ヴァルディ(幼少期)とジャファー・ジャクソン(青年期)の名演技。
この章では本作の見どころを感想を交えてたっぷりとお届けしていきます。
ジュリアーノとジャファーの名演技

先述したように、幼少期はジュリアーノ・ヴァルディが、青年期はジャファー・ジャクソンが演じています。
ジャファー・ジャクソンは名前からもわかる通り、ジャクソン・ファミリーの一員。
彼はジャーメイン・ジャクソンを父に持ち、マイケル・ジャクソンを叔父に持ちます。
つまりジャファーは叔父の役を演じたということですね。
顔立ちがマイケルに似ている理由はこれです。
ジャクソン5時代にマイケルと人気を二分したジャーメインの息子なだけあって、とてもハンサムな方です。
ジャーメインの男らしさとマイケルの美しさを持つビジュアルもまた、映画がヒットしている理由の1つと言えるでしょう。
ビジュアルの近さで言うと、幼少期を演じたジュリアーノ・ヴァルディの方がマイケル本人の幼少期と似ています。
可愛らしさとソウルフルな歌い方、キレのあるダンスがマイケルの幼少期とそっくり。
さて、ここまでは彼らのビジュアルに触れてきましたが、本作の魅力は見た目の再現度だけではありません。
彼らが披露した名演技も、本作を成功へ導いた大きな要因となっています。
まずは数々の名曲・名ダンスを完璧に再現したこと。
特にジャファーは数ヶ月にも及ぶ過酷なダンスの特訓を受けて撮影に臨んでいます。
ダンスのキレはもちろんのこと、足から出血するほど練習しても、「マイケルはサボらない。」と自身に言い聞かせて練習を積んだと語っています。
マイケルの理念も受け継いで臨んだ撮影だからこそ、世界中で絶賛される名演技が完成したと言えるのです。
さらにジュリアーノとジャファーは、声もマイケル本人と似せて演技しています。
声の再現度の高さは圧巻でした。
マイケル本人の声と言われても納得してしまうほどの再現度で、これが映画への没入感をさらに高めています。
映画発表時によく話題になっていた、「歌は誰が歌っているのか?」と問いに対し、歌声はマイケル本人と俳優のミックスであることが公表されています。
マイケル本人と俳優、両者へのリスペクトが感じられる熱いエピソードですね。
なので映画で曲が流れる場面では、実際に彼らも歌っているのです。
もはや俳優の枠を超えたアーティストですね。
名曲・名ダンスのメドレー

本作を観て僕が抱いた感想は、「『Michael/マイケル』は伝記映画であり、音楽映画でもある。」ということ。
マイケルファンが愛してやまない数々の名曲メドレー。
これだけでも映画を観る価値は十分にあります。
そこにダンスとビジュアルが加わるのですから、これは観ないわけにはいきません。
僕のようなファン歴の長い人だけでなく、ライト層や初めてマイケルの作品を鑑賞する人にとっても、感動的な映画です。
先述した俳優の演技と名曲・名ダンスは、世界中で絶賛されています。
これを機に新たにマイケルのファンになる人も増えていくはずです。
マイケルが成し遂げた偉業の数々

マイケル・ジャクソンは、単なる成功したアーティストにとどまるものではありません。
彼は世界中で“KING OF POP”と呼ばれ、数々の偉業を成し遂げた人物としても知られています。
彼の代表作『Thriller』のミュージックビデオは、当時の常識を覆すものでした。
それまでミュージックビデオは販促的な要素が強く、現代に見られるミュージックビデオと比べて明らかに簡素でした。
しかし、マイケルはThrillerのミュージックビデオを14分の短編映画のように制作。
これが世界中で話題となり、ミュージックビデオ時代が幕を開けたのです。
結果、『Thriller』は世界で約7000万枚〜1億枚売れ、最も売れたアルバムとしてギネス認定されました。
ちなみに現代でもその記録は破られていません。
マイケルが“KING OF POP”の称号を得た瞬間でした。
Thrillerの発売後、アメリカの大手ケーブルチャンネル『MTV』で、黒人アーティストとして初めて作品が放送されました。
当時あった「黒人音楽家の作品は放送しない」という人寿差別的な掟を破り、MTV解禁を果たした功績は偉大です。
エピックの社長がマイケルに懇願されて、MTVに圧をかけてまで放送を許可されるシーンは、本作屈指の胸熱&痛快シーンです。
マイケルがペプシのCM撮影中に、事故で火傷を負ったこともファンの間では有名な話です。
ペプシから支払われた賠償金150万ドル(推定)をすべて病院に寄付したシーンも描かれています。
音楽界で世界の頂点を取っても、純粋で優しいままのマイケルを観ることができる、本作屈指の感動シーンとなっています。
ファン目線で見た本作の良かった点
僕がマイケル・ジャクソンのファンになったのは今から10年前、大学生のときでした。
マイケルの作品をたくさん聞いて、彼の生涯のこともたくさん調べてきました。
そんなファン歴10年の僕が、映画『Michael/マイケル』を観た感想を述べます。
まずは本作の良かったところから見ていきましょう。
ジョセフとの確執の表現

マイケルと父ジョセフの確執はファンの中では有名な話ですね。
マイケルは幼少期、父ジョセフから虐待を受けていました。
後にマイケルは、「貧しい家庭に生まれた自分達が道を踏み外さないようにと願ってのことではあった。」と父の行いに理解を示しています。
物語はすでにバンドが結成されているところから始まります。
自宅でのレッスン中、父ジョセフから「マイケル、ファンたちはここにいる。俺の目を見ろ。」と言われるシーンがありますが、マイケルはここで父の目を見られないのです。
父に怯えるマイケルの心情を表しています。
この関係は青年期に入ってからも続きます。
父ジョセフとグループの活動をめぐって意見が衝突し、父が怒鳴るシーンでマイケルは足早にその場から去っていきます。
どれだけ有名になっても、父に真っ向から逆らえない、支配従属関係にあるマイケルの不満が表現されています。
このように、父との関係性は幼少期から一貫して描かれています。
これがあったからこそ、物語終盤でマイケルがジャクソンズ(エピック移籍後のグループ名)から独立し、父と決別するシーンは印象的でした。
マイケルの歌声にスタジオ全員が感銘を受けるシーン

“KING OF POP”の異名を持つマイケル・ジャクソンは、史上最も成功したアーティストとして知られています。
「もう二度とマイケルのような人は現れない。」と言われるほど、彼の作品、ステージは偉大なものでした。
映画の中でも、「やはりマイケルは特別」と思わせるシーンが随所に見られます。
中でも印象的だったのは、ジャクソン5としてモータウンレコードと契約した後、マイケルが『I Want You Back』の収録を行うシーン。
スタジオにいる収録スタッフも初めてマイケルの歌声を生で聴くこととなります。
その歌声にスタジオ全員が感動し、皆がマイケルの才能を確信するシーンがあります。
収録後の「君みたいな子は初めてだ。」というセリフは、嘘偽りのない、正真正銘の感動であったことが分かります。
マイケルの別格さを印象付けるシーンです。
マイケルの孤独を感じさせる言動

マイケルは幼少期からずっと音楽界でトップを走り続けてきた、生粋のスーパースター。
そんなスターならではの苦悩も描かれています。
幼少期から学校よりも仕事を優先させられ、常にメディアの注目の的となっていたマイケル。
そんなマイケルには同い年の友達はいませんでした。
マイケルが飼っている動物を「友達」と呼ぶセリフは印象的でした。
「周りの人は僕の写真を撮るばかり、人として見てもらえない。」というセリフは、マイケルの孤独を感じさせます。
映画は『BAD』時代で終わりますが、噂されている続編(後述)では、マイケルが数々のトラブルに巻き込まれていくシーンも描かれるでしょう。
本作の“孤独なスーパスター”という印象は、そこでも活きてくるはずです。
マイケルとピーターパンの関連性を脚色して描写

マイケル・ジャクソンとピーターパンには不思議な関連性があります。
1つ目は鼻の形。『BAD』以降の鼻筋が細く、上を向いた彼の鼻は、よく「ピーターパンのよう」と言われていました。
映画で描かれたのはペットであるチンパンジー、バブルス君と一緒に絵本を読むシーン。
絵本の中のピーターパンの鼻を見て、自身の鼻にコンプレックスを感じ、整形するシーンがあります。
この部分は映画での脚色ですが、ドラマチックな印象を受けたシーンでした。
また、序盤でもピーターパンに登場する悪役、フック船長と父ジョセフを重ねるシーンがあります。
絵本の中で、ピーターがフック船長をやっつける場面には、フック船長の上にペンで「Joseph(ジョセフ)」と書き込まれているのです。
ピーターパンとの関連性と、父ジョセフへの憎しみを同時に表現した面白い脚色です。
また、マイケルは青年期に入ってからも子どものような遊びを好みました。
仕事で子ども時代を失った過去から、現実でもピーターパン症候群であったとされています。
後に彼が住む豪邸『ネバーランド』も、『ピーター・パン』に登場する架空の国の名前と一致します。
このようなマイケルとピーターパンの不思議な関連性に焦点を当てた表現技法は、ファンとして面白かったです。
スパンコールの片手袋にまつわる一説を脚色して描写

彼のステージ衣装はファンにとって非常に印象深いものでした。
「マイケル・ジャクソンのステージ衣装」と聞けば、『Thriller』の赤いレザーシャケットや『BAD』のメダルジャケット、『Dangerous』期の黒と金のバレットジャケットなど、様々なものを連想させます。
中でも『Billie Jean』や『Victory Tour』で着用していたスパンコールの片手袋は、マイケルの衣装を語る上で欠かせないアイテムの1つとして、ファンの記憶に深く刻まれています。
スパンコールの片手袋にはこんな逸話があります。
それは「マイケルは手に広がった白斑を隠すために手袋をしていた。」というもの。
真相は解明されていませんが、映画ではこの説を脚色して取り上げています。
ステージの後、マイケルが手袋を外すシーンで、手に進行した白斑が見られます。
こういった説に焦点を当てて、オリジナルシーンを作り上げたのも、ファンとして興味深く映りました。
白人の弁護士と警護主任がマイケルを守る展開

主人公マイケルを敵役ジョセフから守る役割を担った2人の白人男性が登場します。
1人は警護主任のビル・ブレイ、2人目は弁護士のジョン・ブランカです。
まだアメリカで人種の壁が厚かった時代、白人の彼らが黒人のマイケルを守る展開は良かったですね。
マイケルは同じ黒人の父ジョセフよりも、圧倒的に彼らのことを信頼していました。
物語を通して敵・味方を分けたのは“人種ではなく人”であったことからも、人種の壁をなくしてきたマイケルと重なる部分がありますね。
終盤で登場する悪名高きプロモーター、ドン・キングが、ボクサーを獲得する際によく人種的共通点をあげていたことと対照的に映ります。
マイケルが黒人として生まれた誇りを名言

映画の中でマイケルが「僕は黒人であることを誇りに思っている。」と口にするシーンがあります。
昔よく誤解されていたのが、「マイケル・ジャクソンは白人に憧れている」というもの。
真相としては、彼の肌は白斑の進行と治療の影響によって白くなったことが分かっています。
美容目的で肌を脱色するようなことはしていないのです。
今でも誤解している人がいたら、映画のセリフを聞いてその誤解を解いてほしいですね。
海外映画特有の皮肉表現

海外映画でよく使われる“皮肉表現”も面白かったです。
日本の作品ではあまり見られませんが、海外では“小言を皮肉混じりに言ったり”、“心情や行動を物で例えたり”といった表現技法がよく使われます。
父ジョセフがマイケルと弁護士によってマーネージャー職を解雇されたとき、解雇通知文書をマイケルに見せ、「額縁に飾ろうか?」と言ってきます。
また、マイケルについて母キャサリンと会話するシーンで、マイケルの方針に怒りを感じたジョセフが「ベルトで分からせてやる。」と言っています。
日本の映画でも使ってほしいくらいキレのあるセリフです(笑)
ファン目線で見た本作の惜しかった点
先ほどまでに、映画の良かった点を語ってきましたが、この章では逆に惜しかった点を述べます。
後述しますが、海外では映画に対する評価が分かれています。
批評家たちが感じた「物足りない」という部分は、僕も一部共感しています。
それでは見ていきましょう。
ジャクソン兄弟たちに焦点を当てていない

映画で焦点を当てられているのは、ほとんどが主人公マイケルと敵役ジョセフ。後の少しは理解者兼傍観者の母キャサリンです。
ジャクソン5、ジャクソンズとして一緒に活動した兄弟たちには、焦点が当てられていません。
完全にサブキャラ扱いなのです。
幼少期からずっとマイケルの戦友であったにもかかわらず、マイケルがスターダムに駆け上がってからは確執が噂されたジャクソン兄弟たち。
彼らの視点でも感情や行動を描いてほしかったというのが本音です。
特にマイケル独立前後の時期には描くチャンスが豊富にあったはずです。
ダイアナ・ロスなどのビッグネームが登場しない

マイケル・ジャクソンと関わりの深いビッグネームに、ダイアナ・ロス、ポール・マッカートニー、妹ジャネット・ジャクソンらがあげられます。
彼らが登場しないのはファンとして少し残念でした。
権利の関係もあるので難しい部分もありますし、彼らだけで1つの映画ができてしまうので、2時間7分の映画には収まりきらないのはよく分かりますが…。
一方でドン・キングが登場したのは意外でびっくりしました。
僕は高校時代にボクシングをしていており、マイク・タイソンの大ファンだったので、ドン・キングには“不穏の象徴”、“疫病神”、”金の亡者”というイメージがあります。
やはりマイケルにとって敵となる行動に出ましたね。
登場シーンはごくわずかですが、父ジョセフと並ぶヴィランとして描かれています。
モータウンとの軋轢が描かれない

映画ではジャクソン5からジャクソンズへの移行時期も入っていますが、ジャクソン5とモータウンとの間にできた軋轢については一切触れられていません。
ずっとトップを走りつづけたジャクソン5(およびジャクソンズ)ですが、実は一時期、評価と売上が低迷していました。
アイドル路線での売り出しを続けるモータウンは彼らの成長に合わせたイメージ転換やセルフプロデュースを許しませんでした。
これに危機感を覚えた父ジョセフとジャクソン5は、ジャーメインを除き、CBSレコード(後にエピック・レコードが発足)に移籍をします。
モータウンから離れればより大きな成功をつかむことができると感じた父ジョセフが、息子たちのために移籍を決意したのです。
ここは父ジョセフの息子たちへの思いやりを表現できる数少ない場面にも関わらず、映画では描かれませんでした。
これによってさらに、物語の闇がジョセフに集約して見えます。
『We Are the World』は描かれない

『We Are the World』は1985年に発売された楽曲で、アメリカの著名アーティストが一堂に集結したプロジェクト『USAフォー・アフリカ』が制作したチャリティーソングです。
マイケル・ジャクソンをはじめ、ダイアナ・ロス、クインシー・ジョーンズなどが参加しました。
2010年にはリメイクされ、ジャスティン・ビーバーやジャネット・ジャクソンらが参加。
日本でも有名な曲ですね。
これだけたくさんの大物アーティストが関わっていたため、映画に使うのは非常に困難です。
権利の取得や、俳優の選定など、興行収入を超える額の費用が発生することが予想されます。
なので本作では未収録。
映画を観に行ったときのコーディネイトが『We Are the World』風だったので、個人的にも少し残念でした(笑)
『BAD』のライブ映像で終了してしまう

『Victory Tour』での「独立宣言」の後、シーンは急に『BAD』のライブ会場へと変わります。
ここでも『BAD』の曲・ダンスが見られるのは嬉しいのですが、曲の終了と同時に「彼の物語は続く」というテロップを残して物語が終了してしまいます。
せっかくジョセフとの確執、家族のしがらみから解放されたのに、「ここで終わり!?」と感じてしまいました。
本作は物語全体が足早な感じはしていましたが、特にラストでは『BAD』のライブで急に終わった感が拭えませんでした。
これについては後述している「権利問題で非公開となったシーンの存在」が絡んできます。
クリックで飛べますので、先に真相を知りたい方はそちらをお読みください。
詳しい人からすれば物語の目新しさはない

本作の惜しかった点を率直に言うと、先述した脚色を除き、知っていることばかりだったというのが本音です。
もちろん音楽とダンスは最高でした。俳優の演技も素晴らしかったです。
しかし、内容はマイケルのファンならば誰しも知っていることばかりで、物語としての目新しさはありませんでした。
“音楽映画としての鑑賞”、“マイケルのことを詳しく知らない人が観る”という前提であれば、とても面白い内容だと思います。
海外では批評家と観客の評価が真っ二つに割れた

映画『Michael/マイケル』は世界中の注目を集め、現時点でも既に多くの人たちに観られています。
ここで海外の2つのレビュー収集サイトでの評価を見ていきましょう。
- 『Rotten Tomatoes(ロッテン・トマト)』:映画、テレビドラマのレビュー集積サイト
- 『Metacritic(メタクリティック)』:映画、ゲーム、テレビ番組、音楽アルバムなどのレビューを収集し、独自のアルゴリズムで数値化した総合評価サイト
映画『Michael/マイケル』に特徴的なのは、批評家からの好意的評価の割合と、一般観客からの好意的評価の割合の間に大きな乖離があることです。
前者は30%台後半と酷評が先行しているのに対し、後者は90%台後半と絶賛一色。
※映画批評家(映画評論家)とは、豊富な専門知識と独自の視点を用いて映画を分析・解説し、作品の魅力や社会的意義を観客に伝える専門家のこと。
次に、なぜこのような評価の乖離が起きているのか、その理由を探ってみます。
映画批評家からの酷評

批評家から酷評内容には、以下のものがあげられます。
内容が薄い。
美化・浄化されすぎている。
彼の物語に存在するもう1つの側面(児童性的虐待疑惑)が欠落している。
2つ目と3つ目の児童性的虐待疑惑に触れられていない件は、本作で描かれた時期が『BAD』までなので仕方がありません。
本作が『BAD』で終了する理由には、後述の「権利問題で非公開となったシーンの存在」で記載している“権利問題”も関係しています。
詳しくはそちらをご覧ください。
しかし、1つ目に関しては僕も共感するところがあります。
全体的に駆け足な物語展開で、マイケルの人生といった側面では、内容が薄かったように感じます。
一般観客からの好評

観客から好評内容には、以下のものがあげられます。
観客が求める要素を徹底的に満たしている。
名曲の連続による体験型構成が素晴らしい。
マイケルを演じた2人の役者がとにかく見事。
これは満場一致の意見でしょう。
マイケルを演じたジュリアーノ・ヴァルディとジャファー・ジャクソンをはじめ、映画制作に携わったすべての人に、改めて拍手を送りたいと思います。
本作の対象者・狙い

映画批評家から酷評されてしまったのは事実ですが、本作の対象者は批評家ではないと考えています。
マイケル・ジャクソンというアーティスト像から見ても、マス層をメインターゲットとした映画であることは明白です。
しかし、マス層、ライトなファンだけでなく、コアなファンも楽しめるように構成されているのは本作の優れているところです。
観た人に新規のファンになってもらう

マイケル・ジャクソンという名前と有名な曲は知っているが、詳しいことは知らないという人にとってみれば、すべてが新しく感じるだろうなと思います。
彼らに新規のファンになってもらうのが、この映画の科された1つのミッションでしょう。
コアなファンには歌とダンスを楽しんでもらう

僕のようなコアなマイケルファンは映画批評家と似た意見も持ちがちです。
しかし、マイケル・ジャクソンの曲を聴き尽くし、ダンスを見尽くした僕でも、本作で演じられた曲とダンスには感銘を受けました。
マイケル・ジャクソンやポップミュージック、ダンスに詳しい人でも、映像と音で存分に楽しむことができます。
権利問題で非公開となったシーンの存在

本作が急な終わり方となってしまったのには理由がありました。
実は映画の撮影は1990年代の『Dangerous』の時期なども行われていました。
しかしここで、過去の事件で結んだ契約の問題が出てきてしまいました。
『Dangerous World Tour』の最中、チャンドラー一家がマイケルを児童性的虐待疑惑で告訴されました。
マイケルは後の裁判で無実が証明されているのですが、この時はマイケルのキャリア、メンタルへの影響を考え、巨額の和解金を支払い、事件を集結させました。
これがマイケルの人生における大きな戦いへと繋がっていきます。
マイケルの人生を語る上で非常に重要なトピックなのですが、この時に結んでいた和解契約に「将来、映画を含む商業的なプロジェクトでこの件を出してはならない」という条項が含まれていました。
撮影を済ませたシーンはこの条項に違反していたのです。
これにより大規模な取り直しを余儀なくされ、映画で扱う時期が『BAD』まで、彼の疑惑に触れないという内容になってしまったのです。
映画批評家による「美化・浄化されすぎている。」「彼の物語に存在するもう1つの側面が欠落している。」という批判には、仕方のない事情もあったのです。
マイケルほどのスーパースターが事件を起こせば、メディア化によって巨万の富を得る人間が出てきます。
それを防ぐためにもマイケルを守るべく作った条項だった可能性もありますね。
しかしこんな形で権利問題が足枷になるとは、当時は思いもよらなかったことでしょう。
続編はほぼ決定しているが、課題もある

『BAD』ライブシーンの終了と同時に流れた「彼の物語は続く」というテロップ。
続編を匂わせるものだったので、続編が公開されるのかどうかも気になるところ。
結論を言うと、「続編は正式決定ではないが、ほぼ決定している。」です。
米ライオンズゲート社からも続編のプロジェクトが進行中であることを示唆されています。
興行収入としても大成功と言え、会社の歴代記録を樹立したわけですから、やらないわけがないでしょう。
さて、気になるのはその内容。
次は『Dangerous』ですね。僕の一番好きな曲です。
曲、ダンス、そしてアルバムアートが最高にカッコイイのです。

しかし、『Dangerous』以降の時代を扱うのには、課題もあります。
1つは児童性的虐待疑惑(すべて無罪判決)については避けては通れません。
マイケルを訴えたのはチャンドラー一家だけでなく、他にも複数件あります。
一度巨額の和解金を支払った事実があるので、金をむしり取ろうとする詐欺的な告訴に遭ったという説が有力です。
これにより、音楽映画という要素を残すのはもちろんのこと、今までよりも濃く、悲惨な人生の内容を2時間程度に収めなくてはなりません。
また、センシティブな内容であるがゆえに、事件のメディア化を親族や関係者が許可するかどうかも課題になります。
また、『Dangerous』以降は彼の容姿にも変化が見られます。
『BAD』時代のマイケルはまだ肌が浅黒かったのですが、『Dangerous』からは完全に白くなります。(もっとも、急激に変化したのは『BAD』時代からですが。)
彼の顔立ちも大きく変化していく時期に差し掛かるので、続投するジャファー・ジャクソンの容姿をメイクで変えることになるでしょう。

マイケルは生前、自身の役を白人俳優が演じることを嫌がっていました。
『Dangerous』や『HIStory』まではジャファーが演じることができるとしても、40代以降のマイケルを演じるのは少し無理があります。
白人俳優を抜擢するわけにもいかないため、彼の容姿をどう再現するのかが課題です。
前編・後編の2部作構成ではなく、前・中・後の3部作構成にするという噂もあります。
そのくらいマイケルの人生は濃いのです。
続編の発表に目が離せませんね。




